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行政のデジタル化
公開日: 2021/2/17(水)
更新日: 2023/3/27(月)

コロナ対策の現金給付手続きはなぜ遅かったのか? ――日本の行政デジタル化の課題(前編)

公開日: 2021/2/17(水)
更新日: 2023/3/27(月)
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90
行政のデジタル化
公開日: 2021/2/17(水)
更新日: 2023/3/27(月)

コロナ対策の現金給付手続きはなぜ遅かったのか? ――日本の行政デジタル化の課題(前編)

公開日: 2021/2/17(水)
更新日: 2023/3/27(月)

コロナ禍への緊急経済対策の一つとして、2020年に一律10万円の定額給付金が支給されたが、手続きに時間がかかるなど、行政のデジタル化の遅れが浮き彫りになった。

 

マイナンバーカードの普及が進んでおらず、スムーズなデジタル申請に役立たなかったことが一因だ。また、戸籍や住民票に使われている膨大な漢字データもシステム構築のネックになっており、文字コードの統一が必要だ。

 

マイナンバー制度を支える情報システム基盤の構築などに携わってきたJapan Digital Design CTOの楠正憲さんの視点から、前編では、コロナ禍中の現金給付の混乱の過程を振り返り、行政のデジタル化の現状と課題を見ていく。
 

※本記事は、「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた1/6のライブ勉強会『行政のデジタル化から家族主義の原点『戸籍制度』の変遷まで〜』の内容をもとに記事化した前編です。

 

<楠正憲さん>
マイクロソフト、ヤフーを経て2017年からJapan Digital Design CTO。2011年から内閣官房番号制度推進管理補佐官、2012年から政府CIO補佐官、マイナンバー制度を支える情報システム基盤の構築に携わる。2015年、福岡市制作アドバイザー(ICT)、一般社団法人OpenIDファウンデーション・ジャパン代表理事に就任。2016年ISO/TC307 ブロックチェーンと分散台帳技術に係る専門委員会 国内委員会 委員長。2019年、東京都デジタルトランスフォーメーションフェロー、ISO/TC68 金融サービス専門委員会メンバー。

中学留年、高校中退、逆転は秋葉原から

楠さんは、IT企業勤務、政府CIO補佐官、さらに大学講師でもあるという輝かしい複線キャリアを築いてきた。だが、かつては落ちこぼれと見られかねない中学・高校時代を過ごしたという。

 

「中学で留年したのは、単純に勉強をサボって成績が悪かったのと、新聞部でいろいろ書き過ぎて先生方に疎まれていたからでしょう」と楠さんは振り返る。

 

中高一貫の私学を高校1年で中退し、大検(現在の高認)を取得して受験に臨むが、どこにも受からず浪人する。

 

折しもWindows 95が登場しインターネット元年という時代、予備校をサボって秋葉原に通った楠さんは、日立ソフトのショールームに入り浸り、「いるだけじゃ悪いんで、代わりにパソコン直したり、僕にしかデモ(デモンストレーション)できないソフトを入れて遊んだり」という日々を過ごした。やがて、重要な来客の際には店員から「この日は来てる?」と聞かれるまでになる。

 

こうして浪人時代に人脈を築き、大学入学早々からフリーランスで仕事を始めた。IT系ライターからスタートして、受託調査など特定のクライアント向けのレポート作成を手がけるようになる。大学2年の時、日本ビクター子会社でのコンビニECサイト構築支援に取り組むうちに、ベンチャー企業だったインターネット総合研究所に誘われ、学生の身で入社したのが1社目の就職だ。

 

大学卒業後、2002年マイクロソフトで10年間、ヤフージャパンで5年間、IT業界の最前線を走り続けてきた。現在はJapan Digital DesignのCTOとして三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のデジタル化に取り組む。

 

政府のIT戦略にも携わっており、昨年はコロナ対策の特別定額給付金の仕組みづくりにも関わった。

 

(写真 楠正憲さん)

コロナ禍中、特別定額給付金が遅れた理由

「ひと言で言って準備不足でした」

 

給付金の実施を予想して、楠さんらが3月半ばから議論した腹案はお蔵入りになる。全国民ではなく「生活困窮世帯に30万円支給」という案が浮上したからだ。

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お金と社会課題
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震災
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まちづくり
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