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      2024/10/30(水)
公開日: 2021/6/3(木)

入管はブラックボックス化している――元職員が語る入管の実態(前編)

公開日: 2021/6/3(木)
公開日: 2021/6/3(木)

入管はブラックボックス化している――元職員が語る入管の実態(前編)

公開日: 2021/6/3(木)
オーディオブック(ベータ版)

入管行政に対し、国内外から厳しい視線が注がれている。

2021年3月には名古屋入管に収容中だったスリランカ人女性が死亡。この報道を受けて「入管の対応は適切だったのか」と、訝しむ声も多く挙がった。

ただそもそも、外国人に関する手続きを行う官庁である入管は、日本人に馴染み深いとは言えない組織だ。今回は「入管が何を根拠にしてどういう手続きを行っているのか」という業務とその問題点について、元入管職員の木下洋一さんに聞いた。

 

※本記事の取材は「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた2021/5/20のライブ勉強会「元入管職員が入管法の賛否両論を語る〜行政の一部がブラックボックス?〜」で行われました。リディラバジャーナルの取材の様子は「リディ部」でご覧いただけます。

 

<木下 洋一さん>
現役時代の密やかな自称、「入管のはみだし者」 。大学卒業後、1989年4月、公安調査庁(法務省の外局)入庁。(国家Ⅱ種採用) 2001年、入国管理局(現・出入国在留管理庁)へ異動。以降、2019年3月に退職するまでの18年間、入国審査官として東京局、横浜支局、羽田支局等地方(支)局において、在留審査、上陸審査、違反審判等の業務に従事し、現場から入管行政の内側を見続けてきた。入管行政に対する疑問から、現役職員であった2017年4月、神奈川大学大学院法学研究科に社会人入学。「出入国管理システムにおける行政裁量の統制に関する一考察」で法学修士学位取得。2019年3月、大学院修了と同時に入管局を早期退職。現在、未来入管フォーラム代表。

「不法滞在=強制送還」ではない

木下さんによると、入国審査官、いわゆる「入管」の仕事は次の4つに分類されるという。

 

・空港などで日本にやってくる外国人の入国を審査する「上陸審査」
・日本に在留する外国人の在留資格の審査等を行う「在留審査」
・オーバーステイ(超過滞在)など入管法違反者に対する「退去強制手続」
・難民申請を審査する「難民認定手続」

 

問題視されたスリランカ人女性の事案は「退去強制手続」の中で発生したとされているが、そもそも入管への収容から退去強制の命令が出されるまでの流れはどうなっているのだろうか。

出入国管理庁によると、2019年に行われた一連の退去強制手続の対象者は1万9386人(出国命令対象者8713人含む)に上る。ただ退去強制手続が始まったからといって、すぐに国外退去を命じられるわけではない。退去強制処分に至るには三段階のプロセスがある。

 

①入国審査官の違反審査
②特別審理官による口頭審理
③法務大臣による裁決
 
日本への在留を望まず帰国を希望する外国人は、①の審査のみで退去強制令書が出され、在留を希望する者のみが②、③の手続きに移っていく。


2019年に退去強制令書が発付された外国人の人数は9218人。なお、同年にはこれを上回る9597人が送還されている。つまり、ほとんどの外国人は処分が下れば本国に帰っているということだ。
 
一方、③の法務大臣による裁決の結果、在留を許可する事情があるとして在留特別許可が認められれば、日本に留まることもできる。2019年の許可数は1,448件、許可率(「理由なし裁決」に占める在特の割合)は57%だった。

木下さんは「よく誤解がありますが、オーバーステイをしている方が必ずしも送還されるわけではありません。たとえば日本で結婚して子どもができたなどで在留特別許可が付与されると、彼らは『正規在留者』として在留することができるわけです」 と話す。

 

(写真AC)

第三者がコミットしない不透明性の課題 

この一連の退去強制手続について、木下さんは「入管法上、法務大臣には巨大な裁量権が与えられていて、かつ、収容から退去強制(または在留特別許可)に至るまでのプロセスすべてが入管の内部で行われています。そこはブラックボックスです」と批判する。

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CONTENTS
intro
ホームレス
no.
1
no.
2
若年介護
no.
3
no.
4
奨学金
no.
5
no.
6
差別
no.
7
no.
8
観光
no.
9
no.
10
子どもの臓器提供
no.
11
no.
12
都市とコロナ
no.
13
no.
14
ICT教育
no.
15
no.
16
産後うつ
no.
17
no.
18
宇宙
no.
19
no.
20
戦争
no.
21
no.
22
人工妊娠中絶
no.
23
no.
24
緊急避妊薬
no.
25
no.
26
テロリスト・ギャングの社会復帰
no.
27
no.
28
社会起業家
no.
29
no.
30
海上自衛隊
no.
31
no.
32
プロジェクト
no.
33
ソーシャルビジネス
no.
34
教員の多忙化
no.
35
no.
36
性的マイノリティ
no.
37
no.
38
出所者の社会復帰
no.
39
no.
40
ワクチン
no.
41
no.
42
薬物依存
no.
43
no.
44
性の悩み
no.
45
no.
46
リブランディング
no.
47
no.
48
少年犯罪
no.
49
no.
50
学校教育
no.
51
no.
52
LGBT
no.
53
no.
54
スロージャーナリズム
no.
55
no.
56
ソーシャルセクター
no.
57
no.
58
教育格差
no.
59
no.
60
メディア
no.
61
大人の学び
no.
62
no.
63
地方創生
no.
64
no.
65
家族のかたち
no.
66
no.
67
他者とのコミュニケーションを考える
no.
68
no.
69
地方創生
no.
70
no.
71
地方創生
no.
72
no.
73
非正規雇用と貧困
no.
74
no.
75
他者とのコミュニケーションを考える
no.
76
no.
77
家族のかたち
no.
78
no.
79
他者とのコミュニケーションを考える
no.
80
no.
81
地球温暖化対策
no.
82
no.
83
就労支援
no.
84
no.
85
1年の振り返り
no.
86
no.
87
動物との共生
no.
88
no.
89
行政のデジタル化
no.
90
no.
91
温暖化対策
no.
92
no.
93
動物との共生
no.
94
no.
95
地方移住
no.
96
no.
97
動物との共生
no.
98
no.
99
温暖化対策
no.
100
no.
101
組織論
no.
102
no.
103
キャリア
no.
104
no.
105
復興
no.
106
no.
107
コミュニティナース
no.
108
no.
109
MaaS
no.
110
no.
111
地球温暖化
no.
112
セックスワーカー
no.
113
no.
114
感染症とワクチン
no.
115
no.
116
大学生の貧困
no.
117
no.
118
温暖化対策
no.
119
no.
120
同性婚
no.
121
no.
122
フェアトレード
no.
123
no.
124
シェアハウス
no.
125
no.
126
飲食業
no.
127
感染症とワクチン
no.
128
no.
129
国際報道
no.
130
no.
131
社会的養護
no.
132
no.
133
認知症
no.
134
no.
135
入管法
no.
136
no.
137
国際問題
no.
138
no.
139
コミュニティ
no.
140
no.
141
コミュニティ
no.
142
no.
143
コミュニティ
no.
144
no.
145
吃音
no.
146
no.
147
コンサル×社会課題解決
no.
148
no.
149
いじめ
no.
150
no.
151
社会課題×事業
no.
152
no.
153
社会課題×映画
no.
154
no.
155
感染症とワクチン
no.
156
no.
157
社会教育士
no.
158
no.
159
山岳遭難
no.
160
no.
161
支援者支援
no.
162
no.
163
いじめ
no.
164
no.
165
ゲーム依存
no.
166
no.
167
トランスジェンダーとスポーツ
no.
168
no.
169
うつ病患者の家族
no.
170
no.
171
パラスポーツ
no.
172
no.
173
代替肉
no.
174
no.
175
弱いロボット
no.
176
no.
177
戦争継承
no.
178
no.
179
女性の社会参画
no.
180
no.
181
子どもの居場所
no.
182
no.
183
感染症とワクチン
no.
184
no.
185
デジタル社会
no.
186
no.
187
若年女性の生きづらさ
no.
188
no.
189
ゼブラ企業
no.
190
no.
191
多胎児家庭の困難
no.
192
no.
193
ソーシャルイノベーション
no.
194
no.
195
ジェンダー
no.
196
no.
197
毒親
no.
198
no.
199
葬儀
no.
200
no.
201
感染症とワクチン
no.
202
no.
203
子どもの安全
no.
204
no.
205
優生思想
no.
206
no.
207
感染症とワクチン
no.
208
no.
209
障害
no.
210
no.
211
水産資源
no.
212
no.
213
教育格差
no.
214
no.
215
障害と性
no.
216
no.
217
医療
no.
218
no.
219
シングルマザー
no.
220
no.
221
多文化共生
no.
222
no.
223
誹謗中傷
no.
224
no.
225
児童労働
no.
226
no.
227
不登校
no.
228
no.
229
政治
no.
230
no.
231
食料危機
no.
232
no.
233
お金と社会課題
no.
234
no.
235
震災
no.
236
no.
237
まちづくり
no.
238
no.
239
精子提供
no.
240
no.
241
選挙
no.
242
アロマンティンク・アセクシュアル
no.
243
クラウドファンディング
no.
244
レイシャルプロファイリング
no.
245
子育てと科学的根拠
no.
246
高齢者雇用
no.
247
介護
no.
248
no.
249