「ゼブラ企業的考え方」をさらに広めていくために――「利益」と「社会貢献」の両立を目指すゼブラ企業(後編)
「ゼブラ企業的考え方」をさらに広めていくために――「利益」と「社会貢献」の両立を目指すゼブラ企業(後編)
利益だけを追求せず、社会貢献との両立を目指すゼブラ企業。ただ社会貢献を目指す際には、利益の追求とは異なる難しさが存在する。
後編では、ゼブラ企業の啓蒙・支援に取り組む陶山祐司さんに、社会課題をどう捉えるべきなのかという見方や、ゼブラ企業の今後の展望について話を聞いた。
※本記事の取材は「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた2021/9/22のライブ勉強会「100年続く持続可能なビジネスとは〜ゼブラ企業のあり方から考える〜」で行われました。リディラバジャーナルの取材の様子は「リディ部」でご覧いただけます。
<陶山祐司さん>
Zebras and Company 共同創業者 / 代表取締役。
(1) 社会課題解決と事業成長の両立、(2)株主のみならずステークホルダー全体への貢献、(3)短期的な時価総額向上よりも長期的な価値創出拡大を行う「ゼブラ企業」の普及拡大に取り組む。
元々は経産省で3.11を踏まえたエネルギー政策見直し、電機メーカーの競争力強化を担当。その後、VC/新規事業のコンサルタントとして、100億超の資金調達をした宇宙開発ベンチャーやIoTベンチャーの事業戦略策定、資金調達、サービス開発、営業の支援や政策提言等を実施。2018年に独立し、SIIF(社会変革推進財団)におけるインパクト投資の促進や、ガバメント・リレーションズの普及に従事。2021年にZebras and Companyを共同創業。
「大企業しか見ない」省庁時代
陶山さんは経済産業省の職員時代を振り返り、「長い時間軸と可能性が見えていなかった」と口にする。
「役人は大企業しか見ない、という傾向はあると思います。売上が数千億円に上る企業ばかりと意見交換をしますし、自分が経産省にいた2014年頃まではユニコーンを目指すベンチャー企業すらあまり相手にしなかったのです。
たとえば『5年後に1万人の雇用を増やしうる企業はどこか』と考えるとき、いま0人の企業が1万人の雇用を創出するのは大変ですが、すでに10万人を抱える企業が11万人に増やすとなると、1割増やせばいいだけ。そうすると、そちらの方が簡単に思えます。
そういう考え方をしていると、『一社の中小企業と付き合っても国民全体を幸せにはできない』と考えてしまいがちです。この考え方には一面の真実がありますが、大企業ばかり見ていると行き詰っていきます」
(写真 陶山祐司さん)
その反省として、いまは企業の成長可能性に目を向ける。
「最初は小さくても、いい仕組みをつくると何倍にも成長してきます。メルカリは設立10年足らずで時価総額1兆円を超える規模になりましたし、楽天の通信事業のチャレンジも事業を10倍に伸ばしていく可能性があるとわくわくします。
サイバーエージェントも、僕が経産省にいたころはほぼ注目されていなかったし、いまも省内ではそんなに注目されていないと思いますが、10年後にはAbemaTVがさらに成長して海外のメディア企業を買収し、世界に対する影響力が大きくなる可能性があると思っています」
長期的な目線で挑戦する
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