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134
社会的養護
公開日: 2021/5/26(水)
更新日: 2023/3/27(月)

声を上げられない子どもにどう寄り添うか――社会的養護の課題と現実(前編)

公開日: 2021/5/26(水)
更新日: 2023/3/27(月)
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134
社会的養護
公開日: 2021/5/26(水)
更新日: 2023/3/27(月)

声を上げられない子どもにどう寄り添うか――社会的養護の課題と現実(前編)

公開日: 2021/5/26(水)
更新日: 2023/3/27(月)

虐待や貧困などさまざまな理由で、家族と暮らすことができない子どもを里親家庭や児童養護施設など社会全体で育てる「社会的養護」。

 

日本では、こうした子どもの多くが児童養護施設などの「施設」で暮らす現状がある。子どもたちが健康に発達していくためには、里親家庭などの家庭的環境に移すことが求められているが、同時に、当事者の子どもの声が支援に反映されていないという問題もある。

 

前編では、日本の社会的養護の特徴と課題について、NPO法人インターナショナル・フォスターケア・アライアンス副理事長として当事者支援に関わってきた永野咲さんに話を聞いた。

 

※本記事の取材は「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた4/23のライブ勉強会「地域で子どもを育てる〜実親でも里親でもない新しい関係性〜」で行われました。リディラバジャーナルの取材の様子は「リディ部」でご覧いただけます。

 

※リディラバジャーナルでは構造化特集「児童養護施設」を掲載しています。より詳しい施設への入所背景や内実、退所後の課題などについてはこちらをお読みください

 

<永野 咲さん>
東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科博士後期課程修了。博士(社会福祉学)。日本学術振興会特別研究員(DC2,PD)等を経て、2020年から武蔵野大学 人間科学部 社会福祉学科 講師。NPO法人インターナショナル・フォスターケア・アライアンス(https://ifcajapan.org)副理事長。著書に『社会的養護のもとで育つ若者のライフチャンス−選択肢とつながりの保障、「生の不安定さ」からの解放を求めて−』明石書店(2017年)。

社会的養護は「恵まれない子どもを慈善活動で養育すること」ではない

厚生労働省によれば、現在、社会的養護のもと親と離れて暮らす子どもたちは全国に約4万5000人いる(※)。

 

※「社会的養育の推進に向けて」厚生労働省より

 

社会的養護が必要になる理由は、虐待や親の経済状況、健康状態などさまざまだ。面前DVといって、子どもの前で夫婦間の暴力が起きている場合にも、心理的虐待とみなされ社会的養護の対象となる。

 

近年、報告件数が増えている虐待においては、年間総数約13万件(2017年度)の相談対応件数のうち、約2万人の子どもが一時保護されている。そして、約4600人が社会的養護(施設や里親家庭)に入るという状況になっている。

 

子ども虐待の深刻さが知られるにつれ、世の中の子どもの福祉への関心度は以前よりも高まっているように見える。だが、施設で暮らす子どもたちの現状は、まだあまり知られていない。

 

「社会的養護というと『恵まれないかわいそうな子どもを、慈善活動で養育すること』と捉えられがちですが、そうではありません。家庭で生活できなくなった子どもたちを、税金を用いて社会全体で育てる仕組みのこと。『社会が親代わりをする』のが本来の意味です」と、永野さんは話す。

 

ただ、前提として、社会的養護の期間は短ければ短いほどいいと永野さんは続ける。

 

「子どもには家族のもとで暮らす権利があり、まずは親子が分離されないように支援することが最優先です。しかし、子どもの権利を侵害している場合には、公的責任で親と切り離し、社会で養育し保護する必要があるということです」

 

(写真 永野咲さん)

里親養育率が低すぎる日本

社会的養護には大きく二つの形がある。一つは施設養護というもので、施設に勤務する職員が子どもを養育する仕組みだ。

※リディラバジャーナルについてもっと知りたい方はコチラ
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地方創生
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236
no.
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震災
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238
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まちづくり
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240
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