共感ベースの共同体を超える言葉の力 ——スロージャーナリズムの可能性(後編)
共感ベースの共同体を超える言葉の力 ——スロージャーナリズムの可能性(後編)
評論家で批評誌「PLANETS」編集長の宇野常寛さんとリディラバ代表の安部敏樹が、いま必要なスロージャーナリズムを考える対談。
日本を覆っている閉じた相互評価のネットワークから脱却するにはどうすればいいのか。共感に頼ることはなぜ危険なのか。
自らメディアをつくり、運営する一方で、地上波テレビの情報番組でのコメンテーター経験もある二人が、前編に引き続き縦横無尽に語り合った。
※本記事は、「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた9/9のライブ勉強会「PLANETS宇野常寛×リディラバ安部敏樹スペシャル対談 スロージャーナリズムを考える」の内容をもとに記事化した前編です。
評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)、『若い読者のためのサブカルチャー論講義録』(朝日新聞出版)、『遅いインターネット』(幻冬舎)。石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)、『静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話』(河出書房新社)など多数。立教大学社会学部兼任講師も務める。
共感が理念を圧殺する今日のメディア社会
宇野常寛 僕は「共感」って言葉が嫌いなんですよ。
「共感」をベースに社会を作ると、一見「いい話」に聞こえるけれど、実際はボトムアップの全体主義になるだけでしょう。
閉じた相互評価のネットワークの中で、誰もが誰もの顔色をうかがいながらどう発言すれば共感を得られるかだけを考えて発言するようになる。そうなると、問題を解決する方法や問題設定そのものの妥当性を問う言説はどんどん「共感されないから」下火になっていく。
安部敏樹 リディラバでは、問題の当事者への共感だけによらず、問題の背景にある構造的な仕組みを見ていくことを重視していますが、それに近い話ですね。
宇野 まさにその通りで、共感できないけれど、やらなければならないことがある。たとえば、共感ベースで考えたら、日本人の税金を使ってシリアの難民を支援しようというロジックは出てこないわけです。
人間は目の前の産気づいた妊婦さんを助けるためにはすぐ行動できるけれど、遠い外国で殺されかけている人を支援しようと言われてもなかなか実感がわかない。
むしろ、共感の外側にあるものを僕らはどう受け止めていくのかというところまで考えていく必要があります。

(宇野常寛さん/写真提供 宇野さん)宇野さんが運営するオンラインサロン「PLANETS CLUB」についてはこちら。

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