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180
戦争継承
公開日: 2021/9/14(火)
更新日: 2023/3/27(月)

心の傷を抱えながらも、戦争の実像を次代へ――戦争体験を継承する意義と課題(前編)

公開日: 2021/9/14(火)
更新日: 2023/3/27(月)
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180
戦争継承
公開日: 2021/9/14(火)
更新日: 2023/3/27(月)

心の傷を抱えながらも、戦争の実像を次代へ――戦争体験を継承する意義と課題(前編)

公開日: 2021/9/14(火)
更新日: 2023/3/27(月)

8月6日の広島原爆投下、8月9日の長崎原爆投下、そして8月15日の終戦記念日。今夏も戦争に関する話題が多く報道された。

 

終戦から70年以上を経た現在も、学校での平和学習や「はだしのゲン」「火垂るの墓」「この世界の片隅に」といった作品を通して、戦争の記憶と記録が受け継がれている。

 

また慰霊や継承のための施設も各地にある。沖縄県糸満市の「ひめゆり平和祈念資料館」もその一つだ。ここは戦争末期の沖縄戦と、そのさなかで多くが命を落とした「ひめゆり学徒隊」の体験を後世に伝えるため設立された。

 

2018年には初の戦後生まれとして、普天間朝佳さんが8代目館長に就任したことでも話題になった。

 

ひめゆり平和祈念資料館では、長年、元ひめゆり学徒の当事者たちが来館者に体験を語ってきたが、現在はその活動も非体験者の職員たちに引き継がれている。

 

前編では現館長の普天間さんに、資料館設立の経緯や目的、戦争体験者が語ることの意義と心理的負荷などについて聞いた。

 

※本記事の取材は「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた2021/8/5のライブ勉強会「引き継ぐことの意味と難しさ~戦争伝承の課題に迫る~」で行われました。リディラバジャーナルの取材の様子は「リディ部」でご覧いただけます。

 

<普天間朝佳さん>
ひめゆり平和祈念資料館館長。1959年沖縄県生まれ。琉球大学法文学部卒。1989年採用、学芸課長、副館長を経て、2018年4月より現職。
ひめゆり平和祈念資料館は、日本軍の看護要員として沖縄戦に動員された「ひめゆり学徒隊」の資料館。元ひめゆり学徒ら戦争体験者が設立・運営してきた資料館で、初めての戦後生まれの館長となる。沖縄のすべての学徒隊を取り上げた「沖縄戦の全学徒たち」展(1999年)、「ひめゆり学徒の戦後」展(2003年)など、非体験者の視点で展示会を企画・開催。2000年以降、元ひめゆり学徒とともに、戦争体験を伝える活動を体験者から非体験者へ引き継ぐ「次世代プロジェクト」に取り組んできた。『ひめゆり平和祈念資料館資料集4 沖縄戦の全学徒隊』(2008年)、「ひめゆりの心―ひめゆりが伝えてきたもの、伝えていくもの」『思想』2015年8月号岩波書店、『沖縄県史 各論編6 沖縄戦』の「学徒隊」を執筆(2017年)。

沖縄戦とひめゆり学徒隊

1941年12月8日、日本軍のマレー半島上陸、真珠湾攻撃を皮切りに始まった太平洋戦争は、終結に至るまでの間、兵士から民間人まで多くの犠牲者を出した。

 

沖縄戦は戦争末期、本土進攻の前線基地とするため沖縄に上陸した連合軍と、その足止めを目的とした日本軍との間で行われた戦いをいう。1945年6月23日(22日との説もあり)、沖縄の日本軍司令官の自決によって日本軍の組織的戦闘は終わった。

 

しかし、司令官が残った部隊に対して、決して降伏せず、最後まで戦えとの命令を出したため、その後も局地的な戦闘が続き、生徒や住民は米軍に捕まるまで戦場をさまようことになった。

 

沖縄戦が終結した日は1945年9月7日とされており、沖縄県と日米両政府の資料によれば、この間およそ90日にわたる激しい地上戦で述べ20万人もの命が失われた。そのうち約3万人が沖縄出身の軍人・軍属、9万人以上が一般の沖縄県民であり、全戦没者の60%を占める。

 

その中には14歳〜19歳の学生も多く含まれていた。当時沖縄には21校の男女中等学校があったが、そのすべてから生徒たちが動員され、男子学生は前線での物資運搬などの後方任務や通信、戦闘、女子学生は負傷した兵士の看護活動にあたった。

 

「ひめゆり学徒隊」は、当時の沖縄師範学校女子部と県立第一高等女学校から動員された女子学生222名、教師18名で構成された学徒隊だった。

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ホームレス
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若年介護
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奨学金
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差別
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観光
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子どもの臓器提供
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都市とコロナ
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ICT教育
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産後うつ
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宇宙
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人工妊娠中絶
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緊急避妊薬
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25
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テロリスト・ギャングの社会復帰
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社会起業家
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海上自衛隊
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プロジェクト
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ソーシャルビジネス
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教員の多忙化
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性的マイノリティ
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出所者の社会復帰
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39
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ワクチン
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薬物依存
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学校教育
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LGBT
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ソーシャルセクター
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教育格差
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メディア
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大人の学び
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62
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地方創生
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64
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65
家族のかたち
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66
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67
他者とのコミュニケーションを考える
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68
no.
69
地方創生
no.
70
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71
地方創生
no.
72
no.
73
非正規雇用と貧困
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74
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75
他者とのコミュニケーションを考える
no.
76
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77
家族のかたち
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79
他者とのコミュニケーションを考える
no.
80
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81
地球温暖化対策
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82
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83
就労支援
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84
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85
1年の振り返り
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86
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87
動物との共生
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88
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89
行政のデジタル化
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90
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91
温暖化対策
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92
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93
動物との共生
no.
94
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95
地方移住
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96
no.
97
動物との共生
no.
100
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101
温暖化対策
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102
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組織論
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104
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キャリア
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復興
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コミュニティナース
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MaaS
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112
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119
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温暖化対策
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同性婚
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フェアトレード
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125
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シェアハウス
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飲食業
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感染症とワクチン
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国際報道
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132
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コミュニティ
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いじめ
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ゼブラ企業
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192
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多胎児家庭の困難
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ジェンダー
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毒親
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葬儀
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202
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感染症とワクチン
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障害
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no.
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障害と性
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シングルマザー
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222
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多文化共生
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誹謗中傷
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児童労働
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不登校
no.
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no.
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政治
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232
no.
233
食料危機
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234
no.
235
お金と社会課題
no.
236
no.
237
震災
no.
238
no.
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まちづくり
no.
240
no.
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精子提供
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242
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選挙
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クラウドファンディング
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246
レイシャルプロファイリング
no.
247
子育てと科学的根拠
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248
高齢者雇用
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251