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公開日: 2021/4/28(水)

誰もが自由に結婚できる社会へ――裁判を通して「同性婚」を考える(前編)

公開日: 2021/4/28(水)
公開日: 2021/4/28(水)

誰もが自由に結婚できる社会へ――裁判を通して「同性婚」を考える(前編)

公開日: 2021/4/28(水)

2021年3月、札幌地裁は「同性婚を認めないのは差別に当たり、憲法に違反する」という判決を下した。この初めての司法判断を受け、原告ら同性カップルは喜びに沸いた。

 

近年、パートナーシップ制度を導入する自治体も増えてきたが、同性間の関係を法的に保護する制度は日本に存在しない。今回の判決は、同性婚の法制化に向けてどのような影響を及ぼすのか。原告の弁護団の一員である須田布美子弁護士に、この判決の意義や、同性カップルが置かれている現状について伺った。
 

※本記事の取材は「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた4/9のライブ勉強会「裁判の判決は社会をどう動かすか〜同性婚訴訟の札幌地裁判決から考える〜」で行われました。リディラバジャーナルの取材の様子は「リディ部」でご覧いただけます。

 

<須田布美子弁護士>
2005年10月弁護士登録。札幌弁護士会所属。2010年11月須田布美子法律事務所開設。結婚の自由をすべての人に北海道訴訟弁護団員。NPO法人ゆいネット北海道・理事長。

「同性婚否定は差別」の違憲判決

2019年2月14日、13組の同性カップルが東京、大阪、名古屋、札幌の4つの地裁で国を相手取り、訴訟を提起した。原告らは「結婚の自由をすべての人に」というスローガンを掲げ、同性婚を認めないことは憲法違反だと訴えた。

 

まずは同性カップル及び国の主張、そして札幌地裁の判断を簡潔に紹介する。

 

▽同性カップル
・憲法24条が定める「婚姻の自由」が同性のカップルに認められないのは違憲
・憲法14条は「法の下の平等」を定めており、異性間は結婚できるのに同性間は結婚できないというのは差別に当たり、違憲
・国は同性婚を可能とする法律を制定すべきところ、その職務を怠っている状態(立法不作為)は違法であるため、国家賠償を請求する

 

▽国
・憲法24条は異性婚の規定であって、そもそも同性婚を想定していない
・異性愛者も同性愛者も、法律上は異性と結婚ができ、同性と結婚できないのは同じだから憲法14条違反には当たらない。結婚の目的は子どもを産み育てるための関係に保護を与えるもので、異性間と同性間を区別しても不合理ではない
・現行法が違憲でない以上、立法不作為ではない

 

▽地裁判決
・憲法24条は異性婚について定めたものであり、同性婚を認めていないことが憲法違反とは言えない
・同性愛者のカップルが婚姻によって生じる法的効果を享受できないのは合理的な根拠を欠く差別に当たり、憲法14条に違反する
・国会が違憲状態を認識することは容易ではなかったことから立法不作為とは言えず、賠償請求は棄却

 

弁護団は裁判後、「同性間の婚姻を認めていない規定が憲法14条に違反して違憲であるとの判断を初めて示した点は画期的」とする声明を発表。「原告らの真摯な訴えを受け止めた」と述べた。

 

賠償請求が棄却されたため、形式的には同性カップルらの敗訴だが、マスコミ各社は「同性婚を認めないのは違憲」「実質的勝訴」といった見出しで大々的に伝えた。

 

日本の法律では違憲性そのものを問う訴訟を起こせないため、必然的に国家賠償請求の形を取らざるを得なかったが、今回の一番の目的は違憲判決を引き出すこと。

 

「違憲だから賠償請求が認められるとなると日本中のカップルが同額の慰謝料を請求できることになり、影響が大きい話なのでそんなに簡単に認められないんです。また憲法24条は同性婚について保障もしていないし禁止もしていないという説がこれまでの通説なので、裁判での本丸は憲法14条違反を提起することでした」と、須田弁護士は話す。

 

狙い通りの結果だが、「違憲判決はなかなか出ないんです。正直、違憲判決が出ないとおかしいとは弁護団みんな思っていましたが、判決には『うわ、本当に出た』という感じもありました」と、振り返る。

 

加えて須田弁護士は、判決が「同性愛は精神疾患ではなく、自らの意思に基づいて選択・変更できるものではない」と認定した点についても高く評価する。

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CONTENTS
intro
ホームレス
no.
1
no.
2
若年介護
no.
3
no.
4
奨学金
no.
5
no.
6
差別
no.
7
no.
8
観光
no.
9
no.
10
子どもの臓器提供
no.
11
no.
12
都市とコロナ
no.
13
no.
14
ICT教育
no.
15
no.
16
産後うつ
no.
17
no.
18
宇宙
no.
19
no.
20
戦争
no.
21
no.
22
人工妊娠中絶
no.
23
no.
24
緊急避妊薬
no.
25
no.
26
テロリスト・ギャングの社会復帰
no.
27
no.
28
社会起業家
no.
29
no.
30
海上自衛隊
no.
31
no.
32
プロジェクト
no.
33
ソーシャルビジネス
no.
34
教員の多忙化
no.
35
no.
36
性的マイノリティ
no.
37
no.
38
出所者の社会復帰
no.
39
no.
40
ワクチン
no.
41
no.
42
薬物依存
no.
43
no.
44
性の悩み
no.
45
no.
46
リブランディング
no.
47
no.
48
少年犯罪
no.
49
no.
50
学校教育
no.
51
no.
52
LGBT
no.
53
no.
54
スロージャーナリズム
no.
55
no.
56
ソーシャルセクター
no.
57
no.
58
教育格差
no.
59
no.
60
メディア
no.
61
大人の学び
no.
62
no.
63
地方創生
no.
64
no.
65
家族のかたち
no.
66
no.
67
他者とのコミュニケーションを考える
no.
68
no.
69
地方創生
no.
70
no.
71
地方創生
no.
72
no.
73
非正規雇用と貧困
no.
74
no.
75
他者とのコミュニケーションを考える
no.
76
no.
77
家族のかたち
no.
78
no.
79
他者とのコミュニケーションを考える
no.
80
no.
81
地球温暖化対策
no.
82
no.
83
就労支援
no.
84
no.
85
1年の振り返り
no.
86
no.
87
動物との共生
no.
88
no.
89
行政のデジタル化
no.
90
no.
91
温暖化対策
no.
92
no.
93
動物との共生
no.
94
no.
95
地方移住
no.
96
no.
97
動物との共生
no.
98
no.
99
温暖化対策
no.
100
no.
101
組織論
no.
102
no.
103
キャリア
no.
104
no.
105
復興
no.
106
no.
107
コミュニティナース
no.
108
no.
109
MaaS
no.
110
no.
111
地球温暖化
no.
112
セックスワーカー
no.
113
no.
114
感染症とワクチン
no.
115
no.
116
大学生の貧困
no.
117
no.
118
温暖化対策
no.
119
no.
120
同性婚
no.
121
no.
122
フェアトレード
no.
123
no.
124
シェアハウス
no.
125
no.
126
飲食業
no.
127
感染症とワクチン
no.
128
no.
129
国際報道
no.
130
no.
131
社会的養護
no.
132
no.
133
認知症
no.
134
no.
135
入管法
no.
136
no.
137
国際問題
no.
138
no.
139
コミュニティ
no.
140
no.
141
コミュニティ
no.
142
no.
143
コミュニティ
no.
144
no.
145
吃音
no.
146
no.
147
コンサル×社会課題解決
no.
148
no.
149
いじめ
no.
150
no.
151
社会課題×事業
no.
152
no.
153
社会課題×映画
no.
154
no.
155
感染症とワクチン
no.
156
no.
157
社会教育士
no.
158
no.
159
山岳遭難
no.
160
no.
161
支援者支援
no.
162
no.
163
いじめ
no.
164
no.
165
ゲーム依存
no.
166
no.
167
トランスジェンダーとスポーツ
no.
168
no.
169
うつ病患者の家族
no.
170
no.
171
パラスポーツ
no.
172
no.
173
代替肉
no.
174
no.
175
弱いロボット
no.
176
no.
177
戦争継承
no.
178
no.
179
女性の社会参画
no.
180
no.
181
子どもの居場所
no.
182
no.
183
感染症とワクチン
no.
184
no.
185
デジタル社会
no.
186
no.
187
若年女性の生きづらさ
no.
188
no.
189
ゼブラ企業
no.
190
no.
191
多胎児家庭の困難
no.
192
no.
193
ソーシャルイノベーション
no.
194
no.
195
ジェンダー
no.
196
no.
197
毒親
no.
198
no.
199
葬儀
no.
200
no.
201
感染症とワクチン
no.
202
no.
203
子どもの安全
no.
204
no.
205
優生思想
no.
206
no.
207
感染症とワクチン
no.
208
no.
209
障害
no.
210
no.
211
水産資源
no.
212
no.
213
教育格差
no.
214
no.
215
障害と性
no.
216
no.
217
医療
no.
218
no.
219
シングルマザー
no.
220
no.
221
多文化共生
no.
222
no.
223
誹謗中傷
no.
224
no.
225
児童労働
no.
226
no.
227
不登校
no.
228
no.
229
政治
no.
230
no.
231
食料危機
no.
232
no.
233
お金と社会課題
no.
234
no.
235
震災
no.
236
no.
237
まちづくり
no.
238
no.
239
精子提供
no.
240
no.
241
選挙
no.
242
アロマンティンク・アセクシュアル
no.
243
クラウドファンディング
no.
244
レイシャルプロファイリング
no.
245
子育てと科学的根拠
no.
246
高齢者雇用
no.
247
介護
no.
248
no.
249