「母性愛神話」に科学的根拠はない。親子と向き合う医師が、いま伝えたいこと

「母性愛神話」に科学的根拠はない。親子と向き合う医師が、いま伝えたいこと
「自分を責めるお母さん、お父さんに『あなたのせいじゃない』と伝えたい。子育ての『呪い』を解きたいんです」
2022年7月19日に書籍『ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)を出版した理由をそう語る、「ふらいとさん」こと今西洋介さん。
小児科医として臨床や研究に携わりながら、Twitterで小児医療や福祉、子どもに関する社会問題、科学的根拠に基づく医療情報を発信している。
「いまの時代、SNSを中心に、子育てにまつわるさまざまな言説が溢れています。
『自閉症は母親の愛情不足が原因』
『離乳食は手作りが一番』
『子どもは親を選んで生まれてくる』
これらの言説は、科学的根拠のないものも多く、子育てに悩む親御さんを苦しめる『呪い』になっています」
子育てにまつわる「呪い」はなぜ生まれ、社会に蔓延してしまうのか。そして私たちは「呪い」にどう向き合えばいいのか。ふらいとさんに話を伺った。
(※2023/1/30 13:00 追記:公開当初、タイトル・本文にて「母性に科学的根拠はない」と一部記載しておりましたが、正しくは「母性愛神話に科学的根拠はない」でした。事実誤認がありましたこと、お詫びして訂正させていただきます)
「母性愛神話」に科学的根拠はない
不確かな情報で責められる親たち
ーーふらいとさんが子育ての「呪い」と向き合い、情報発信するようになったのはなぜですか?
きっかけは、とあるお母さんのツイートです。当時は「赤ちゃんには胎内記憶(お腹の中にいるときの記憶)がある」という言説が盛り上がっている時期で、その噂に不安を覚える内容でした。
思わずその方に「科学的根拠はありませんよ」とTwitter上で反応したところ、同じように不安を抱えている方々からも「安心した」という大きな反響があったんです。
「情報を発信するだけで誰かの助けになるんだ」と実感したことが、情報発信を始めるきっかけでした。
(ふらいとさんご本人と、ふらいとさんがモデルとなった「コウノドリ」今橋先生)
ーーそれまでは発信活動をされていなかったと思うのですが、なぜそのツイートには反応したんですか?
つい…と言いますか。当時、僕が勤務していたNICU(新生児集中治療室)にやってくる赤ちゃんの親御さんも、不確かな情報で落ち込んでしまう方は少なくありませんでした。
NICUは出産後に何らかの理由で集中治療が必要な子どもたちが集められる場所。ここにやってくる赤ちゃんのお母さんは「私のせいで」と自責の念でいっぱいになってしまう場合も多いんです。家族から「あなたのせい」と責められることもある。
そういうときに、僕は必ず「あなたのせいではありません」と声をかけるようにしているんですが、それでも限界があります。病院では声をかけられても、家庭内まで医師が入り込むことはできないので…。
外来で泣き続けるお母さんも多いんですよ。それだけ周囲から育児に関して責められたり、出産後に孤立感を覚えたりする状況なのだと思います。
ーー確かに、たとえば親世代から「私のときはこうだったのよ」と言われて育児に悩んだり迷ったりする…という話などはよく聞きます。
そうですね。でもそのときから医学の情報がアップデートされて、現代では間違いだとわかっていることもあります。
先ほどお話しした「胎内記憶」も2000年代に流行った言葉です。当時は胎内記憶に関する講演会がよく開かれましたし、書籍も多く出回っていました。
けれども、胎内記憶というのは、とある医師が、2~3歳の児童を観察して提唱したものに過ぎず、その存在が科学的に証明された調査、論文などは発表されていません。
2010年代には、胎内記憶という言葉は、医療界では滅多に使われなくなりました。
ーー現在も科学的にわかっていることは少ないのでしょうか。
簡単に言うと研究が進んでいない未知の領域です。そのため、根拠の乏しい「呪い」のような言説も広がりやすいんです。
胎児は最初に聴覚が発達し、視覚が最も遅く発達するとか。そういうことがこの10年ほどでようやくわかったレベル。
五感に関する研究もまだ発展途上な中で、さらに難易度の高い「記憶」に関して、その有無を断定できるほどのエビデンスは揃っていません。
もちろん将来的には揃ってくる可能性もあると思いますが、現段階では科学的根拠はないと言った方が適切だと思います。
ーーこうした「呪い」のような言説は、他にどんなものがありますか?
たとえば1990年代には、自閉症の原因が母親の愛情不足だと医学界が考えていた時期もありました。
その後研究が進み、自閉症と母親の愛情の間には何の関係もないことが明らかになり、いまでは医学界の認識はアップデートされています。
しかし、いまだに「自閉症は母親の愛情不足」という言説が世の中に出回っていて、「私の愛情が足りないんだ」と自分を責めてしまうお母さんはいます。
また、自閉症に限らず多くの「呪い」の根底には「母性愛神話」の考えが根深く残っています。
母性愛神話とは、お腹に子を宿した瞬間から、母性が自然に湧き上がってくるものである、愛情を持って当たり前である、という考え方です。
しかし、この「母性愛神話」に科学的根拠はありません。スピリチュアルの域にあると言ってもいいです。感情論や経験論をもとにした「母性愛神話」がたくさんのお母さんたちを苦しめている。
実際、私が小児科医として診療してきた子どものお母さんの中には、母性愛神話や、母性愛神話を信じた周囲の声に苦しんでいる方が多くいました。
そんな経験もあって、いまは親御さんを傷つけたり、悩ませたりするような、科学的根拠のない「呪い」を一つひとつ打破していきたいと思っています。
(ふらいとさんのTwitterアカウント)
「親御さんは藁にもすがる思い」
根拠のない「呪い」が広まる理由
ーーここまでお話しいただいたような「呪い」のような言説が、書籍の中では無数に紹介されています。なぜ、これほどたくさんの「呪い」が生まれ、広まっていくのでしょうか。
一つ考えられるのは、当事者が言葉を発することができないからでしょう。
赤ちゃんや小さな子どもは、自分の意思や状態を的確に表現する語彙がないですし、医療に関する意思決定は親がすることになります。
だからこそ親は「この選択でいいのだろか」と不安に駆られますし、そこにつけ込んでビジネスをする人たちが生まれてくるのだと思います。
さらに、デマだけではなく、上の世代の方々からの経験則や感情論に基づくアドバイスに苦しめられるケースもよく見ます。
また子育ては、過去の親世代から新しい親世代へ、なかなか正確な情報が引き継がれないという難しさもあります。
たとえば私の経験で言うと、5年前にツイートしたものと同じ内容をいま投稿しても、当時と変わらない反響がある。
新しく子育てを始めてフォローしてくれた人たちには、5年前に伝えた情報が伝わっていない…ということかなと思うんです。
世代が変わっても伝わっている状態、つまり正確な情報を社会の常識として定着させることは、とても難しいと感じています。
そしてもう一つ注意したいのが、専門職を謳っていながら科学的根拠に基づいていない発信をする人がいることです。
全員が全員ではないですが、最新情報をキャッチアップできていない医師や助産師はいます。それ以外にも育児専門家や教育のプロのような肩書きで独自の理論を商売にしている人もいます。
育児に悩んでいると「専門家の情報なら大丈夫」と盲目的に信じたくなることは誰にでも起こり得ると思うんです。特に実際に面と向かって言われるとなおさら。
ただ、そういった専門職でも無資格でビジネスをしている人もいますし、死亡事故も起きています。
ーー書籍でも事例が紹介されていました。
「山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故」はその代表例ですね。
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