no.
146
コミュニティ
公開日: 2021/6/23(水)
更新日: 2023/3/27(月)

「同質性の高さ」がもたらす価値と課題――クイズ王伊沢拓司と考える「理想のコミュニティ」(前編)

公開日: 2021/6/23(水)
更新日: 2023/3/27(月)
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コミュニティ
公開日: 2021/6/23(水)
更新日: 2023/3/27(月)

「同質性の高さ」がもたらす価値と課題――クイズ王伊沢拓司と考える「理想のコミュニティ」(前編)

公開日: 2021/6/23(水)
更新日: 2023/3/27(月)

多くの人が所属した経験を持つコミュニティ「学校」。その同質性の高さゆえに生まれるカルチャーや育まれる能力もある一方で、そこで醸成された価値観が、ときにコミュニティ以外の場において摩擦や課題を生むこともある。

 

今回はYouTubeチャンネル『QuizKnock』や数々のメディア出演などで「クイズ王」としておなじみの伊沢拓司さんと、リディラバ代表の安部敏樹が対談。前編では、学校というコミュニティがもたらす価値や課題、コミュニティにおける多様性について語った。
 

※本記事の取材は「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた2021/5/12のライブ勉強会『リディ部1周年お祝いイベント 理想の学校を語ろう公開対談①』で行われました。リディラバジャーナルの取材の様子は「リディ部」でご覧いただけます。

 

<伊沢拓司さん>
私立開成中学校・高等学校、東京大学経済学部卒業。中学時代より開成学園クイズ研究部に所属し開成高校時代には、全国高等学校クイズ選手権史上初の2連覇を達成。林先生の教え子でもある、東大の知識モンスター。2016年に立ち上げたwebメディア『QuizKnock』で編集長を務め、YouTubeチャンネル『QuizKnock』の動画への出演や企画などを行う。現在は(株)QuizKnock CEO。著書に『勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法』(KADOKAWA)、『思考力、教養、雑学が一気に身につく! 東大王・伊沢拓司の最強クイズ100』(KADOKAWA) などがある。

開成という「同質性の高いコミュニティ」がもたらす価値

 安部敏樹  伊沢くんは開成中学・高校から東京大学へ進学してると思うんだけど、開成ってどんな場所だったんですか。

 

 伊沢拓司  まず、開成の良いところは「努力を絶対善」としていて、頑張りを認めてくれるところ。これは教育という面ではすごく良いことだと思っています。同級生を見ていても、まっすぐな人が多いと感じますね。

 

自ら目的を見つけて努力していくことができる人になるし、努力に強いからそこで結果も出せる。卒業後の進路も、なかには自分の意思で「大学に行かない」という選択をする人もいます。

 

あとはなんでも選挙で決めたり、細かく議論をしたりしてものごとを決めていくので、気持ちいいくらい色々なことがうまくいくところも「開成らしい」と言えるかもしれません。

 

たとえば、毎年5月に運動会があるのですが、高校3年生が仕切るのが通例なので、2年生の時点で役職選挙を始めて、10月ごろには各クラスの役職者が決まるんです。そこから、細かいルールを決めたり先生たちとの調整をしていったりする。

 

そのために審議委員会というものを開くのですが、事前に議案を提出したり、質問を通達しておいたりするなど、徹底した準備のうえでやっていました。

 

運動会の練習や本番でも、儀礼化されている文化や細かい法令が審議委員会で決まっているので、それに沿うことでスムーズに進むんです。
 

 安部  すばらしい環境ですね。

 

 伊沢  ただ、長年の伝統があり、人数規模もちょうどいいからこそうまくいっているところはあると思います。あとは、前提として「努力の論理」がきちんと共有されているから、原点思考がしやすく、細かく説明する必要がないというところもありますし。

 

それが当たり前だと疑わずに過ごして外へ出ていくことになるというのは、開成というコミュニティが持つ悪いところでもあるかもしれません。擬似的なビューロクラシーに慣らされてしまう。

 

 安部  「論理的に話せばわかる」「みんなが主体的に参画し努力する」ことが前提の開成というコミュニティでは何の問題もなくできていたことが、そこから一歩出ると、そのやり方ではうまくいかないこともあると。

 

(写真 安部敏樹)

 

 伊沢  「努力が絶対」という同質性のなかで成り立っていることを見落とし、批判的な検証がなされないまま「このシステムこそ最強だ」と思い込んでしまうのは、問題かもしれません。

 

もちろん開成に通っていても、他校の生徒とは部活動やバンド活動などで関わったりすることはあるので、ほかのコミュニティに触れる機会がないわけではないんですね。

 

僕自身のことでいえば、中学3年生のときから社会人のクイズサークルに参加していたので、開成以外の世界も知っていたほうではあると思います。

 

ただ、外の環境は知っているけれど、圧倒的に学校や仲間へのコミットメントの時間が長いので、やっぱり「自分たちの学校は最高だ」というふうになりがちなんですよね。

優れたコミュニティに属することで生まれる課題

 安部  伊沢くんもそうだけど、開成出身者は東京大学に進学する人が多いですよね。開成出身者の東大生に、特徴のようなものはあると思いますか。

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