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公開日: 2020/11/9(月)

SNSの呪縛から本来のインターネットを取り戻す——スロージャーナリズムの可能性(前編)

公開日: 2020/11/9(月)
公開日: 2020/11/9(月)

SNSの呪縛から本来のインターネットを取り戻す——スロージャーナリズムの可能性(前編)

公開日: 2020/11/9(月)

インターネットは本来、誰でも自由に発信でき、リアクションをもらえる双方向のひらかれた場のはずだった。

 

しかし、今やSNSが大喜利と炎上に終始する閉じた相互評価のネットワークと化している。

 

今回は、評論家であり批評誌〈PLANETS〉編集長の宇野常寛さんをゲストに迎え、今のマスメディアやSNSへの問題意識と、PLANETSが実践するスロージャーナリズムの可能性について、リディラバ代表の安部敏樹が聞いた。

 

※本記事は、「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた9/9のライブ勉強会「PLANETS宇野常寛×リディラバ安部敏樹スペシャル対談 スロージャーナリズムを考える」の内容をもとに記事化した前編です。

 

<宇野常寛さん>
評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)、『若い読者のためのサブカルチャー論講義録』(朝日新聞出版)、『遅いインターネット』(幻冬舎)。石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)、『静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話』(河出書房新社)など多数。立教大学社会学部兼任講師も務める。

マスメディアのお題で大喜利するSNS

 宇野常寛  いろいろ言っていますが、僕はインターネットの可能性そのものは強く信じているんです。

 

僕は若い頃かなりデタラメな生き方をしていて、大学卒業後もぶらぶらしていた時期があったりする。そのあともまあ、特にやりたいこともなくて割と適当に就職して働いていたのだけれど、そんな人間がいろいろあってちょっとおもしろいことをやろうと思い立ったとき、唯一使えるツールがインターネットだった。

 

PLANETSはこのとき僕がブロガーの仲間たちを集めて作った同人サークルが原型だし、作っていったものもインターネットで話題になることで世に知られていったわけです。カネもコネもなくても、自分の言葉だけで勝負できたのは、インターネットがあったからです。

 

(宇野常寛さん/写真提供 宇野さん)

 

 安部敏樹  僕も当時インターネットにすごく可能性を感じました。分散型だしアナーキーでそれでも前向きで、かっこいいなと。

 

 宇野  ところが今のSNSって、新聞やテレビや週刊誌といったオールドメディアと悪い意味で一体化している。

 

オールドメディアはインターネットから話題を拾ってくるのに夢中だし、SNSではワイドショーや週刊誌がピックアップした目立ちすぎた人や失敗したひとをあげつらって、大喜利的に叩いて安心したり、スッキリしたりしている。

 

みんなが叩いている人にうまいダメ出しをした人が座布団を稼ぐような、いじめの巧いやつが得をする世界になってしまっている。

 

たとえば、シングルマザーの方がネグレクトして子どもを死なせてしまった事件があったとき、ワイドショーは視聴率を稼ぐために、その女性の経歴や交友関係をさんざん暴き立てて、コメンテーターは「本当にひどい母親だ」と人格攻撃をする。それを見ている人たちは自分は「まとも」な側の人間だと溜飲を下げるわけです。

 

 安部  問題を解決する気がないですよね。

 

 宇野  「シングルマザーやシングルファーザーへの公的支援が足りないのではないか? 」とか「親にネグレクトされている子どもを地域社会が発見しやすいような制度はできないのか? 」という、問題解決に寄与する議論は全くできずに、「この母親がひどい」という擬似問題ばかりが広がって、本当の問題は置き去りにされているんです。

 

 安部  問題を解決するには、まず現状を認識して、やれることを一つずつ具体的に前に進めるプロセスが必要です。その先に解決のイメージを持って、自分も解決に寄与していくつもりで、責任を持って発言するのが健全じゃないですか。

 

しかし、今のマスメディアに出ている人の発信を見ると、番組制作側や視聴者側が求める発言に終始してしまっているように思います。

 

 宇野  放送局は視聴率獲得ゲームをしているし、コメンテーターやそれを見てSNSにハッシュタグで投稿する人たちは、共感獲得のゲームをしている。それをやっている限り、他人の顔色を見たりタイムラインの潮目を読んだりすることでしか発言しなくなる。

 

だから、SNS以降、報道による世論形成は不可能になったと僕は思っています。

「遅いインターネット計画」が考える読者とメディアの関係性

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CONTENTS
intro
ホームレス
no.
1
no.
2
若年介護
no.
3
no.
4
奨学金
no.
5
no.
6
差別
no.
7
no.
8
観光
no.
9
no.
10
子どもの臓器提供
no.
11
no.
12
都市とコロナ
no.
13
no.
14
ICT教育
no.
15
no.
16
産後うつ
no.
17
no.
18
宇宙
no.
19
no.
20
戦争
no.
21
no.
22
人工妊娠中絶
no.
23
no.
24
緊急避妊薬
no.
25
no.
26
テロリスト・ギャングの社会復帰
no.
27
no.
28
社会起業家
no.
29
no.
30
海上自衛隊
no.
31
no.
32
プロジェクト
no.
33
ソーシャルビジネス
no.
34
教員の多忙化
no.
35
no.
36
性的マイノリティ
no.
37
no.
38
出所者の社会復帰
no.
39
no.
40
ワクチン
no.
41
no.
42
薬物依存
no.
43
no.
44
性の悩み
no.
45
no.
46
リブランディング
no.
47
no.
48
少年犯罪
no.
49
no.
50
学校教育
no.
51
no.
52
LGBT
no.
53
no.
54
スロージャーナリズム
no.
55
no.
56
ソーシャルセクター
no.
57
no.
58
教育格差
no.
59
no.
60
メディア
no.
61
大人の学び
no.
62
no.
63
地方創生
no.
64
no.
65
家族のかたち
no.
66
no.
67
他者とのコミュニケーションを考える
no.
68
no.
69
地方創生
no.
70
no.
71
地方創生
no.
72
no.
73
非正規雇用と貧困
no.
74
no.
75
他者とのコミュニケーションを考える
no.
76
no.
77
家族のかたち
no.
78
no.
79
他者とのコミュニケーションを考える
no.
80
no.
81
地球温暖化対策
no.
82
no.
83
就労支援
no.
84
no.
85
1年の振り返り
no.
86
no.
87
動物との共生
no.
88
no.
89
行政のデジタル化
no.
90
no.
91
温暖化対策
no.
92
no.
93
動物との共生
no.
94
no.
95
地方移住
no.
96
no.
97
動物との共生
no.
98
no.
99
温暖化対策
no.
100
no.
101
組織論
no.
102
no.
103
キャリア
no.
104
no.
105
復興
no.
106
no.
107
コミュニティナース
no.
108
no.
109
MaaS
no.
110
no.
111
地球温暖化
no.
112
セックスワーカー
no.
113
no.
114
感染症とワクチン
no.
115
no.
116
大学生の貧困
no.
117
no.
118
温暖化対策
no.
119
no.
120
同性婚
no.
121
no.
122
フェアトレード
no.
123
no.
124
シェアハウス
no.
125
no.
126
飲食業
no.
127
感染症とワクチン
no.
128
no.
129
国際報道
no.
130
no.
131
社会的養護
no.
132
no.
133
認知症
no.
134
no.
135
入管法
no.
136
no.
137
国際問題
no.
138
no.
139
コミュニティ
no.
140
no.
141
コミュニティ
no.
142
no.
143
コミュニティ
no.
144
no.
145
吃音
no.
146
no.
147
コンサル×社会課題解決
no.
148
no.
149
いじめ
no.
150
no.
151
社会課題×事業
no.
152
no.
153
社会課題×映画
no.
154
no.
155
感染症とワクチン
no.
156
no.
157
社会教育士
no.
158
no.
159
山岳遭難
no.
160
no.
161
支援者支援
no.
162
no.
163
いじめ
no.
164
no.
165
ゲーム依存
no.
166
no.
167
トランスジェンダーとスポーツ
no.
168
no.
169
うつ病患者の家族
no.
170
no.
171
パラスポーツ
no.
172
no.
173
代替肉
no.
174
no.
175
弱いロボット
no.
176
no.
177
戦争継承
no.
178
no.
179
女性の社会参画
no.
180
no.
181
子どもの居場所
no.
182
no.
183
感染症とワクチン
no.
184
no.
185
デジタル社会
no.
186
no.
187
若年女性の生きづらさ
no.
188
no.
189
ゼブラ企業
no.
190
no.
191
多胎児家庭の困難
no.
192
no.
193
ソーシャルイノベーション
no.
194
no.
195
ジェンダー
no.
196
no.
197
毒親
no.
198
no.
199
葬儀
no.
200
no.
201
感染症とワクチン
no.
202
no.
203
子どもの安全
no.
204
no.
205
優生思想
no.
206
no.
207
感染症とワクチン
no.
208
no.
209
障害
no.
210
no.
211
水産資源
no.
212
no.
213
教育格差
no.
214
no.
215
障害と性
no.
216
no.
217
医療
no.
218
no.
219
シングルマザー
no.
220
no.
221
多文化共生
no.
222
no.
223
誹謗中傷
no.
224
no.
225
児童労働
no.
226
no.
227
不登校
no.
228
no.
229
政治
no.
230
no.
231
食料危機
no.
232
no.
233
お金と社会課題
no.
234
no.
235
震災
no.
236
no.
237
まちづくり
no.
238
no.
239
精子提供
no.
240
no.
241
選挙
no.
242
アロマンティンク・アセクシュアル
no.
243
クラウドファンディング
no.
244
レイシャルプロファイリング
no.
245
子育てと科学的根拠
no.
246
高齢者雇用
no.
247
介護
no.
248
no.
249