高齢者虐待:【高齢者虐待】介護が暴力に変わるとき | リディラバジャーナル
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2020/3/19(木)
【高齢者虐待】介護が暴力に変わるとき
2020/3/19(木)
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【高齢者虐待】介護が暴力に変わるとき
2020/3/19(木)
構造化特集 : 高齢者虐待
構造化の視点
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いま、

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いま、急速に高齢化が進むなかで、高齢者虐待の件数も増加している。「加害者」の多くは、介護者家族だ。しかし「加害者」とされる介護者もまた困難に直面している。本特集では「被介護者」「介護者家族」「介護施設職員」それぞれが抱える課題と、「介入・支援する人」の課題に着目。高齢者虐待が引き起こされる要因を探っていく。

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2018年度に起きた高齢者虐待の件数は1万7000件を超え、厚生労働省の調査開始以来、過去最多を更新。虐待を行った者の内訳としては、家族や親族らによるものが96%以上を占める。家族や親族らによる殺人や心中、虐待による死亡者も21人にのぼる。

 

15年以上介護の現場に携わってきた元ケアマネジャーの男性はこう話す。

 

「高齢者虐待は家庭という密室のなかで起きているので、行政が『虐待』として認定していない暗数もかなり多いと感じます。虐待には至らないまでも、これはぎりぎりだなというケースも数多くみてきました」

 

男性はこう続ける。

 

「介護する側としては自分も無理してやっているので、『これが普通だろう』と思っていることもあります。介護されている側からしても、『自分は迷惑かけているんだから我慢しなければならない』という意識があることも多い。なので、第三者がかかわってはじめて、これは虐待だろうと気づくことは少なくありません」

 

画像はイメージです(Shutterstock)。

虐待にいたる介護者の事情

今回取り上げるテーマは高齢者虐待。本特集の取材を通して繰り返し耳にしたのが、「介護者は虐待をしたくてしているわけではない」「介護者自身が傷ついていることが多い」という言葉だ。

 

何度も夜中に起こされたり、徘徊が心配で眠れなかったり。すぐに失禁してしまうので何度も何度もおむつを替えなければならないことも――。

 

前出の元ケアマネジャーの男性は、そうした介護者の事情も知っているからこそ、虐待を報告すると介護者が「虐待加害者」というレッテルを貼られてしまうことにジレンマを感じてきたと話す。

 

厚労省の調査によると、介護者による虐待の理由としては「介護疲れ・介護ストレス」が最も多く、他にも「虐待者の障害・疾病」「虐待が始まる前からの当事者間の人間関係」「被虐待者の認知症の症状」などが挙げられる。

 

こうしたデータから見えてくるのは、介護する側も困難に直面していること、それらが「虐待」というかたちで表出してしまっていることだ。そして、これらの困難は介護者であれば誰しも直面しうることでもある。

 

これまで30年近く高齢者精神医療に携わってきた松本診療所(ものわすれクリニック)の松本一生医師は、「私の臨床経験からは、介護者に悪意がなく、熱心に介護を続けていくうちに追い詰められた結果として起こる不適切行為のほうが、重篤な状態になってしまう可能性が高い」と明かす。

 

実際に、何年ものあいだ熱心に介護を続けた末に、愛していたはずの親や配偶者をみずからの手で殺めてしまう人たちがいる。

 

ただし、「もちろん、熱心に介護しているから虐待が起こるということではありません」と松本医師は釘を刺す。

早期発見・早期対応がかぎ

ではどうすればいいのか。本特集では、在宅介護、施設介護それぞれの現場で高齢者虐待が起きてしまう構造を紐解き、虐待を回避するために必要なことを探っていく。

 


 

2005年に高齢者虐待防止法が制定されてから2020年で15年が経つ。介護者家族の会が増える、介護職員らの虐待に対する意識が高まるなど、高齢者を取り巻く環境は改善されてきたが、いまだに虐待事例は後を絶たない。

 

さらに介護を理由とした離職者の数は10年前と比較すると約2倍に増加。介護と仕事との両立に困難を感じている人も増えている。

 

介護分野の有効求人倍率は全産業の2倍以上の高さだが、介護職は非正規職員の割合が高く、賃金水準は他の産業と比較しても低いままだ。こうした介護の担い手が抱える問題も直視しなければならない。

 

「高齢者虐待」という問題は、決して高齢者だけの問題ではない。介護の担い手となる世代がまさにいま、直面している問題でもある。

 

何より、高齢者虐待の予防にあたってもっとも重要なのは早期発見、早期対応だ。歳を重ねれば、遅かれ早かれ多くの人にとって介護は「自分ごと」になる。だからこそ、「まだ介護は先のこと」と考えている方々にものぞいてみていただければ幸いだ。

 

第1章 介護者家族

 

 

第1回【介護者の3分の1は男性に―介護者たちに生じている変化】では、高齢者の増加に伴って増える介護者の変化、また介護者を取り巻く状況の変化について考察する。

 

第2回【年間10万人の「介護離職」その防止策とは】では、介護を要因とする離職のリスクとその防止策について考える。突然、親や配偶者に介護が必要になったとき、どうすればいいのか――。

 

第2章 被介護者

 

 

第3回【穏やかだった親が暴力をふるう…認知症の受け止め方】では、高齢者虐待を引き起こすひとつの要因でもある認知症の症状について解説。介護者として、社会として認知症という病気をいかに受け止めていくのか考える。

 

第3章 高齢者虐待防止の支援者

 

 

第4回【介護による“共依存”で介入困難―ケアマネジャーの葛藤】では、元主任ケアマネジャーの男性に、これまで目にしてきた家族による高齢者虐待の実態やケアマネジャーとしての葛藤について聞いた。

 

第5回【「高齢者虐待の芽を摘み取る」地域包括支援センターの役割】では、介護に関する地域の相談窓口となる「地域包括支援センター」の役割とその課題に迫る。

 

第4章  介護施設職員の疲弊

 

 

第6回【元施設職員が明かす高齢者虐待の内部告発】では、元施設職員に介護施設での高齢者虐待の実態について話を聞いた。

 

第7回【増える職員の負担に人手不足…介護施設のジレンマ】では、施設職員からの高齢者虐待がなぜ起こるのか、現場にはどのような課題があるのか探っていく。

 

第8回【虐待対応の成否をわける日常の“人間関係”】では、2005年に制定された高齢者虐待防止法について再考し、高齢者虐待が起きたときの対応の課題を考える。

 

第5章 安部コラム

 

最終回【リディラバ安部が語る高齢者虐待】では、高齢者介護を取り巻く課題について、リディラバジャーナル編集長である安部敏樹が語る。

 

 


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