日本に生まれ、日本で暮らすの人の中には、「無戸籍」状態
日本に生まれ、日本で暮らすの人の中には、「無戸籍」状態で、身分証明や行政サービスの利用に困難を抱える人たちがいる。実は、世界的にも稀な戸籍制度はどのような制度なのか。そして制度からこぼれ落ちる人たちはどのような課題を抱えるのか。明治から続く戸籍制度の構造を紐解く。
日本に生まれ、日本で暮らすの人の中には、「無戸籍」状態で、身分証明や行政サービスの利用に困難を抱える人たちがいる。実は、世界的にも稀な戸籍制度はどのような制度なのか。そして制度からこぼれ落ちる人たちはどのような課題を抱えるのか。明治から続く戸籍制度の構造を紐解く。
日本に生まれ、日本で暮らすの人の中には、「無戸籍」状態で、身分証明や行政サービスの利用に困難を抱える人たちがいる。実は、世界的にも稀な戸籍制度はどのような制度なのか。そして制度からこぼれ落ちる人たちはどのような課題を抱えるのか。明治から続く戸籍制度の構造を紐解く。
リディラバジャーナル構造化特集「無戸籍」。
第2回となる本記事では、当事者が抱える困難(1章)として、当事者が自己実現を達成しづらくなる構造を解説する。
「戸籍があれば、もっと違う人生があったんじゃないかと思います」
こう語るのは、埼玉県に住むミサコさん。
現在29歳のミサコさんは、生まれた時から無戸籍状態であり、現在も戸籍記載に向けて活動している。
前回の記事では、「行政サービス」に焦点をあて、無戸籍者の多くが行政サービスから疎外される構造を解説した。
今回は、行政サービスに限らず、教育・就労・民間サービスの利用など、生活の様々な場面で訪れる当事者の困難に着目。
度重なる困難を前に、当事者が自己実現に向かいにくくなる構造を明らかにする。
2-1:「友達はほとんどできなかった」
当事者が語る無戸籍者の生活
無戸籍であることによって、生活上どんな困難があったのか。
ミサコさんにお話を聞かせてもらった。
(写真:無戸籍当事者のミサコさん)
Q:ご自身が無戸籍状態だとわかったのはいつのことでしたか。
ミサコさん:小さい頃から知っていました。
私の母親はフィリピン人で、日本に出稼ぎに来て働く中で、日本人の男性と結婚しました。
その男性がいわゆるヤクザで、母親にも色々と危害を加えることがあったそうで、離婚の手続きもまとまらないまま、夫のもとから逃げ出したそうです。
母親はその後別の男性と出会って、その男性との間に私が生まれました。
ただ、離婚が成立していないので、出生届を出すと私はヤクザの夫の子どもになってしまう。夫が知ったら、何をしてくるかわからないので怖いということで、出生届を出せなかったそうです。
Q:ミサコさん自身は、学校に通うことができたのでしょうか。
ミサコさん:小学校に入学する年齢の時、私は東京に住んでいたのですが、東京では結局小学校に通えませんでした。
1年間学校には通えず、翌年、小学2年生の夏に埼玉に引っ越すことになりました。
埼玉では、教育委員会か行政かわからないですけど、市議会議員が関係先との間に入ってくれたので、やっと2年生の途中から学校に通えるようになり、そのまま中学校にも行きました。
高校に通ってやりたいことがあったんですが、高校の入学には住民票が必要ということでまた通えなくなりました。
Q:何がやりたかったのですか。
ミサコさん:トリマーになりたい、と思っていました。
ただ、高校にも通えないし、トリマーには資格が必要なのですが、その資格も無戸籍では取れない。トリマーの夢は諦めました。
Q:その後、高校に通えなかった時期からはどんな生活を?
ミサコさん:仕事をしようと思って、アルバイトを見つけました。
ただ、しばらく働くとバイト先から「住民票を持ってきて」と言われて、事情を説明すると、「じゃあ働けないね」となりました。
どこもそんな感じで、職を転々とする中で、夜の仕事はその辺のことをとやかく言ってこないので夜の仕事をした時期もありました。
学校もほとんど通っていないし、職場も転々とせざるを得ない。
無戸籍という私の境遇を話しても、なかなか理解してもらえないこともあって、人生の中で友達と呼べるような人はほとんどできませんでした。
2-2:「ふざけるなという気持ち」
ミサコさんが憤る自治体の対応
Q:戸籍を取ろうとしたことはありますか。
ミサコさん:数えきれないほどあります。
戸籍が無理なら、せめて住民票だけでもほしかった。
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