
更新日: 2023/3/27(月)
ベンチャー界のゴッドマザーに聞く、有事におけるリーダーシップ
更新日: 2023/3/27(月)
更新日: 2023/3/27(月)
ベンチャー界のゴッドマザーに聞く、有事におけるリーダーシップ
更新日: 2023/3/27(月)
新型コロナウイルスの感染拡大により、すべての国、自治体、企業のリーダーたちが先行きの見えない中での意思決定を迫られ、その決断に世間の注目が集まっています。
また、こうした有事にこそ、社会的に弱い立場に立たされている方々を助けるはずのソーシャルセクターが、当事者を助けるための(経済的・組織的な)体力が足らず、本当は困っている人たちに対してサポートをしなければならないのに自分たちが苦境に陥っている、という状況もあります。
そこで今回は「ベンチャー界のゴッドマザー」として知られ、多くの企業のリーダーシップ育成に尽力されている岡島悦子さんにお話を伺い、有事におけるリーダーシップの在り方を考えていきます。
経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロ。 「日本に"経営のプロ"を増やす」ことをミッションに、経営のプロが育つ機会(場)を創出し続けている。 成長ステージに合致した経営チーム組成のための「経営チーム診断/強化コンサルティングサービス」を提供。経営課題に合わせ「次世代経営者抜擢(苗代プログラム)」「外部招聘」「経営チーム合宿」等の支援サービスを提供。経営者やファンド等の株主から「経営×人」領域のディスカッション・パートナーとして高く評価されている。三菱商事、ハーバードMBA、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2002年、グロービス・グループの経営人材紹介サービス会社であるグロービス・マネジメント・バンク事業立上げに参画、2005年より代表取締役。2007年、プロノバ設立、代表取締役就任。 株式会社丸井グループ 、ランサーズ株式会社、株式会社セプテーニ・ホールディングス、 株式会社ユーグレナ、株式会社マネーフォワード等、多数の社外取締役やアドバイザーを歴任。
※上記ダイジェスト動画・本記事は、リディラバ主催のオンライン勉強会「リディズバ」第22回(2020/4/26開催)を要約・編集したものです。
※動画全編は記事末尾にあります。リディラバジャーナル有料会員の方、もしくは有料会員の方によるシェアURLから記事をご覧いただいている方は、ご視聴いただくことができます。新規ご登録はこちら。
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非常事態になる前に、「決め方を決めておく」
あべ 岡島さんが社外取締役を務められている丸井グループが、臨時休業中のテナント家賃と共益費を全額免除という、素晴らしい施策を出していましたね。※
岡島 そうですね。その他にも色々な施策を出していて、取引先の方々にとっては良い施策になるんじゃないかなと思います。
丸井グループはこうした有事になる以前から、「共創経営」という言葉を掲げてきました。将来世代のためにインクルーシブな(あらゆる人が孤立したり排除されたりしない)世界をつくっていきましょうという中で、お取引先の方々とサステナブルな関係性を強化していく。
なので今回も、このコロナをなんとか生き延びて、そのあとまた一緒にやっていきましょうということですね。
もともとの方向性が決まっているので、こういう意思決定が速くできる。もちろん財務基盤がしっかりしているというのはあるんですけれども。
あべ 経営陣からすれば、自分たちの売上利益を手放す、経営的にはマイナスな意思決定ですよね。
岡島 有事になってから決め方を急に決めるとか、ほとんど無理だと思います。
そうではなく、日頃どんな戦略をもっていて、どんな財務体質なのか、みたいなことがとても重要です。結局この有事には、多数決でみんな集まってものごとをゆっくり議論することはできないので、そういう意味では「決め方を決めておく」ということが重要なんです。
※丸井グループは、2020年4月22日、新型コロナウイルスを乗り越えるためのパートナーシップ強化について発表。テナント各社に対し、休業期間中の家賃および共益費を全額免除する等の施策を打ち出した。
有事に必要なのは「現場と生の情報でつながっている」こと
あべ コロナ対応におけるリーダーシップという観点で、あの人良かったな、ここが素晴らしかったな、と注目している人がいたら教えてください。
岡島 素晴らしいなと思うのは、福岡市長の高島(宗一郎)さん。
ラム・チャランという学者が「難局においてリーダーに絶対必要な6つの資質」を提唱しているのですが、そのうちのひとつが「現場と生の情報でつながっている」こと。
高島さんの場合だと、保健所の情報が常にアップロードされてきていて、それをTwitterなりYoutubeなり、SNSで開示する。
いま感染者の状況がこうで……ということを、かなり生のままのデータで憶測ではなく言っているので、やっぱりリアルだと思うし、みんながいまテレワークだったりする中で、トップの人たちが生の情報を持っていないと、現場は「あのリーダーは、キレイゴトばっかり言ってるよな」って話になるじゃないですか。
あべ 福岡市の場合、100万人という規模の都市であれだけデータをきちっと引っ張り上げてくるような、組織とかカルチャーをつくれていたということが大きいですよね。
岡島 自治体だけじゃなくて民間のセクターもそうなんですけど、テレワークになって顕著になってくるのは、みんな忖度もできなくなってきたし、オンライン会議をやっていると、わりとズバッと言わないと伝わらないですよね。ある意味、言語化能力がすごく問われる。
ただ、後だしジャンケンみたいな議論はあまり良くなくて。平時にやっていなかった人たちに対して、いまあなたたち平時にやってなかったから困ってるんでしょ、みたいなことを言っても課題解決にはならない。
そういう意味では今回がチャンスで、いわゆるデジタルトランスフォーメーションみたいなこと、本当だったら2025年ぐらいまで起こらなかっただろう変化が、グッと前倒しになったことをチャンスだと思って、やっていかないと、という気はしますね。
仕事、家族、幸せ。私たちの「価値観」が問われている
あべ このコロナの後の社会は、どうなっていくと思いますか。
岡島 今後は、抜本的な産業構造の変化が起こると思っていて、今まであった業界の種類や職種みたいなものが壊れて、組み直されるんじゃないかと思うんですよね。
労働市場の再配分は、もっともっと起こってくると思う。副業もあるだろうし、もしかしたら「家族」というもの自体も、変化していくかもしれない。
唯一言えるのは、これから働く期間が20代から80代までと伸びていく中で、いつでもどこでも稼げる力、しかもそれが常に変化している、そういう力を持っていることが重要なんですよね。
個人の専門性、強み、わたしが「タグ」って言ってるものなんですけど、そんなに大それたものじゃなくて、あべさんだったら「社会問題」で「マグロ船で働いてた」、「いつも同じ赤いTシャツ着てる」みたいな「タグ」があって、仕事に呼ばれる。
「想起される自分になれるか」ということがすごく重要。
あべ そうですね。労働市場がガラガラポン!になると、企業側は正規雇用をしなくなっていって、何か危機があった時に、すぐ人を切りやすいように非正規雇用に切り替えていく、ということがあるかもしれない。
極端に言えば、社会保障をベーシックインカムみたいな形に近づけていって、本当に一部の生産性の高い人だけが働いて、その人たちが稼いだものを再配分していくというパターンもあり得るなと思っているんですけど。
それから、「民主主義ってなんだっけ」という問いですよね。市場原理にだけ従って働いてきたら、いきなり個人の努力ではどうにもならないような危機にさらされて、自分が、市場原理とは関係ない部分での社会参画をしてこなかった、ということに初めて気づく。
岡島 「働くってなんだっけ」と「民主主義ってなんだっけ」という2つの論点は、密接に関わっていると思っていて、抽象的でふわっとしているんですけど、結局は「自分にとっての幸せってなんだっけ」ということに尽きるんだろうと思います。
コロナをきっかけに家族と過ごす時間が増えた人たちも多く、人間関係を見直したりとか、ここで、個々人が自分にとってのウェルビーイングを見直す中での、「働くってなんだっけ」。
あべ これまでは一緒に暮らす家族と価値観が合ってなくてもまぁいいやというのがあったと思うんですよね。ただ、今回それが大事だよね、ということが急に表面化してきた。
岡島 こうした機会に、家族としての価値観とか、個人としての「働く」・「生活する」ことの価値観をもう一回見直すといいと思いますね。
実は働いている場所はここじゃなくてもいいかなとか、自分はこういう暮らし方がいいなとか、もしかしたら週に3日しか働かないとかもあり得るよな、とか。いろんなオプションが増えてくる気がしますね。
(動画全編につづく)
【オンライン勉強会「リディズバ」第22回(2020/4/26開催)】
・テーマ:岡島悦子が贈る「社会課題」のススメ
・語り手:安部敏樹、ゲスト:岡島悦子さん
・時間:約91分間
▼動画全編▼
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今週はとても嬉しいことがあったので、ご報告させてくださいm(_ _)m
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早くも4月ですね。あっという間に過ぎ去る日々に「!?!?」という感じですが、今日も今日とて、リディラバジャーナルのご案内です。
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編集部の井上です。今日は、
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