犬猫の殺処分:【犬猫の殺処分】行き場を失う命 | リディラバジャーナル
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ペット産業の現状と課題
2020/2/21(金)
【犬猫の殺処分】行き場を失う命
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【犬猫の殺処分】行き場を失う命
2020/2/21(金)
構造化特集 : 犬猫の殺処分
構造化の視点
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近年減少しているとはいえ、いまだ解決していない犬猫の殺

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近年減少しているとはいえ、いまだ解決していない犬猫の殺処分問題。今回の特集では、殺処分される犬猫の「発生」と「保護」の問題に着目。余剰分の犬猫や野良犬猫を発生させてしまう飼い主やペット産業、そしてそれらの犬猫を過剰に抱え込んでしまう動物愛護センターや動物愛護団体。それぞれの課題の背景を解き明かし、殺処分問題を構造化していきます。

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犬が7687頭、猫が3万757頭ーー。

 

これは、2018年度に殺処分された犬猫の頭数だ。平均すると1日に犬が約21頭、猫が約84頭、自治体の動物愛護センターで殺処分されている。

 

日本の犬猫の飼育頭数は2019年10月時点で犬が約880万頭、猫が約 978万頭。合計すると国内の子どもの人口を大きく上回っており、犬猫は人間社会に欠かせない存在といっても過言ではない。

 

多くの犬猫が家族として愛されている一方で、行き場を失い保健所や動物愛護センターに収容され、命を落とす犬猫もいる。

 

では、どのような経緯で犬猫は殺処分されてしまうのだろうか。

複雑に絡み合う飼い主の持ち込み要因

2018年度に自治体に引き取られた犬猫は合計で9万1939頭(犬が約3万5535頭、猫が5万6404頭)にのぼる。

 

このうち1万1625頭が飼い主に返還、4万2041頭が新たな飼い主等に譲渡され、残りの3万8444頭が殺処分されている。

 

犬猫それぞれの引き取り元の内訳は、犬は「飼い主から」が約1割で、「所有者不明」が約9割。猫は「飼い主から」が約2割で、「所有者不明」が約8割という状況だ。

 

環境省HPより(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

 

まず、飼い主がペットの犬猫を保健所や動物愛護センターに持ち込む背景には、飼い主の高齢化といった健康上の理由や、引越し・離婚・失職などをきっかけに飼育費用を負担できなくなる経済的理由、犬猫が攻撃的な性格で言うことを聞かずしつけができないといった関係性の理由、家庭環境の変化や近隣トラブルによる理由など、さまざまな要因がある。

 

なかには、飼い主が不妊・去勢手術などを行わずに犬や猫を多数飼育することで、繁殖が繰り返され飼育不能になる「多頭飼育崩壊」により持ち込まれるケースもある。

 

犬猫をはじめ動物に関する福祉活動を行う日本動物福祉協会の町屋奈(ない)さんは、近年の飼い主からの持ち込み問題について次のように語る。

 

「最近では特に飼い主の高齢化が問題視されています。高齢となり病気で世話ができなくなったり、生活保護を受けるようになって飼育不能状態になったりして持ち込まれる。また健康上の理由や経済的な理由が重なって引越しを余儀なくされ、飼育禁止の集合住宅等で飼い始めてしまい、近隣トラブルに発展して持ち込まれるパターンもありますね。持ち込みの要因は一つではなく複雑に絡み合っている印象です」

「所有者不明」の犬猫はどこから来るのか

一方で所有者不明の犬猫は、そのほとんどが野良犬、野良猫だ。

 

 

野良犬は狂犬病予防法に基づき自治体が積極的に捕獲・保護しているが、攻撃性があり譲渡に適さない場合も多く、やむなく殺処分されている。

 

野良猫は糞尿被害などの地域トラブルを引き起こし、持ち込まれるケースが多いという。

 

また所有者不明の犬猫の中には、数値には表れていないが、一部の動物取扱業者(ブリーダー・ペットオークション業者・ペットショップ)による遺棄も含まれると言われている。

 

ペット産業のシステムは大量生産を前提としており、売れ残りや病気の犬猫、子を産めなくなった繁殖犬などの余剰分が発生してしまう。そうした犬猫が劣悪な環境に放置され死亡したり、遺棄されている現状がある。

 

捨てられた犬猫はそのまま野良化、あるいは住民に拾われるなどして保健所や動物愛護センターに持ち込まれ、結果的に殺処分されてしまう。

 

(日本動物福祉協会提供)

 

また、近年ではブリーダーやペットショップから犬猫を有料で引き取る「引き取り屋」も問題になっている。2012年の動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)の改正により、自治体が動物取扱業者からの犬猫の引き取りを拒否できるようになった。引き取り屋はこの改正を一因に生まれた業者で、ブリーダーやペットショップが抱える余剰分の犬猫を引き取った後、劣悪な環境で飼育。虐待やネグレクト、遺棄などに発展しており、事件化しているケースもある。

問題は山積みだが殺処分数は減少

殺処分にまつわる問題はいまだ山積しているが、近年では犬猫の引き取り数、殺処分数はともに減少し続けている。

 


環境省HPより(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

 

これは野良犬が継続的に捕獲されて総数が減っていることや、保健所や動物愛護センターの譲渡に向けた取り組みが進んだこと、動物愛護団体やボランティアの保護活動、譲渡活動が活発化したことなどが要因と考えられる。

 

ペット業界も引き取り屋という問題が浮上してはいるが、業界内で譲渡活動を行う業者が増加するなど、殺処分数の減少に向けて積極的に取り組む動きが増えてきている。

 

また、2012年の動物愛護法改正時に、飼い主には終生飼養の責任があることが明記されたり、その翌年には環境省が「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」を立ち上げ“殺処分ゼロ”を目指す方針を示したり、国を挙げた殺処分問題解決の取り組みが加速している。

 

しかし、こうした取り組みの裏で新たな問題が浮上しているという。

「殺処分ゼロ」というスローガンの弊害

「動物愛護センターや動物愛護団体が『殺処分数をゼロにしなければ』というプレッシャーにさらされて、収容・保護した犬猫を抱えすぎている現状があります。結果として伝染病のまん延やネグレクト、多頭飼育崩壊が起き、不幸な犬猫が増えてしまっているんです」

 

こう語るのは、犬猫の保護施設の獣医療に詳しい日本獣医生命科学大学の田中亜紀さん。

 

 

さらに、一部の保健所や動物愛護センターでは、収容したらすぐに動物愛護団体に犬猫を引き渡し、団体に過度な負担を強いてしまっているケースもあるという。

 

近年の殺処分数の減少は、動物愛護団体やボランティアの尽力によるところが大きい。「犬猫を助けたい」という思いが譲渡数の増加につながっているが、その一方で、過剰な抱え込みによる「受け皿の疲弊」という別の問題が出てきているのだ。

 

そこで本特集では、犬猫が収容され殺処分されてしまう構造的問題を明らかにするとともに、「殺処分ゼロ」という目標が引き起こす弊害についてもスポットを当てていく。

 

犬猫からペットとしての癒しを与えられている以上、私たちには犬猫を正しく管理する責任がある。しかし、殺処分数が減っているとはいえ、劣悪な環境のもと飼育されたり、遺棄されたりする犬猫がいる現状では、その責任が果たされているとは言い難い。犬猫の殺処分にまつわる問題は、人と動物が共生していく上で解決すべき社会問題と言える。

 

 

第1章 ペット産業の現状と課題

 

 

第1回【流通でこぼれ落ちる余剰分の犬猫】では、ペットである犬猫が飼い主のもとへ行くまでの経路を見るとともに、流通上で発生する余剰分の犬猫の行き先を見ていく。

 

第2回【元ペットショップ店員が語る現場での葛藤】では、ペットショップで働いていた元スタッフに、命をモノとして扱うことの葛藤などについて語ってもらった。

 

第2章 持ち込まれる犬猫たち

 

 

第3回【「かわいくなくなった」だけではない、飼い主の持ち込み理由】では、飼い主が保健所や動物愛護センターに犬猫を持ち込んだり遺棄したりしてしまう要因を飼育責任の観点から探る。

 

第4回【地域コミュニティから見る野良猫問題】では、殺処分につながる野良猫の自然繁殖、近隣トラブルといった課題や、それらの解決策を専門家に聞いた。

 

第3章 「殺処分ゼロ」という目標の成果と弊害

 

 

第5回【もう抱えきれないーー疲弊する捨て犬猫の受け皿】では、殺処分数ゼロを達成した神奈川県動物愛護センターの成果を見るとともに、「殺処分ゼロ」という目標が引き起こす受け皿の疲弊にスポットを当てる。

 

第6回【「殺処分ゼロ達成」の裏で起こる不幸】では、殺処分の必要性や、不幸な動物を減らすためにいま必要なことはなにかを改めて整理する。

 

第4章 殺処分数を減らすためには

 

 

第7回【人と犬猫のより良い共生社会へーー動物愛護管理法のこれから】では、不幸な犬猫を生み出さないために必要な動物愛護管理法の今後について考える。

 

第5章 安部コラム

 

 

最終回【リディラバ安部が語る「犬猫の殺処分」】では、リディラバジャーナル編集長である安部敏樹が犬猫の殺処分問題をめぐる現状や課題について語る。
 


構造化特集 : 犬猫の殺処分

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ペット産業の現状と課題
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「殺処分ゼロ」という目標の成果と弊害
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安部コラム
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