東大卒クイズ王が語る、クイズが持つメディアとしての可能性と危うさ | Ridilover Journal(リディラバジャーナル)
いまこそ学び直し!あべとしきと考える社会問題の構造20
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2020年4月。新型コロナウイルスの感染拡大により、すべての人が、ひとつの社会問題の「当事者」となりました。不安に溢れる今だからこそ、困難な状況にある人たちへの想像力をもち、社会全体で「やさしい関心のセーフティネット」が築けたら――そんな思いで、私たちリディラバは、4月5日から毎日毎晩、社会問題に関するオンライン勉強会「リディズバ」をスタートしました。 熱量あふれる勉強会のようすを、記事と動画でお届けします。
2020/5/19(火)
東大卒クイズ王が語る、クイズが持つメディアとしての可能性と危うさ
2020/5/19(火)
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東大卒クイズ王が語る、クイズが持つメディアとしての可能性と危うさ
2020/5/19(火)
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 あべ  今回は、東京大学クイズ研究会発のウェブメディア「QuizKnock」のCEOであり、東大王でも有名な伊沢拓司くんをゲストにお迎えしました。

 

クイズを活用したメディアをつくるに至った背景にある問題意識や、日本のテレビとクイズの関係性など、クイズ王ならではの視点から新しい時代のメディアについて伺っていきたいと思います。

 

<伊沢拓司(いざわたくし)>
私立開成中学校・高等学校、東京大学経済学部卒業。中学時代より開成学園クイズ研究部に所属し開成高校時代には、全国高等学校クイズ選手権史上初の2連覇を達成。林先生の教え子でもある、東大の知識モンスター。2016年に立ち上げたwebメディア『QuizKnock』で編集長を務め、YouTubeチャンネル『QuizKnock』の動画への出演や企画などを行う。著書に『勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法』(KADOKAWA)、『思考力、教養、雑学が一気に身につく! 東大王・伊沢拓司の最強クイズ100』(KADOKAWA) などがある。

 

 

※上記ダイジェスト動画・本記事は、リディラバ主催のオンライン勉強会「リディズバ」第28回(5/2開催)を要約・編集したものです。

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能動化させるメディアとしてのクイズ

 あべ  今日は伊沢くんが普段話さないような、もう少し深い「人間・伊沢拓司」の思想のようなものが見える議論ができたらいいなと思っています。まず、「QuizKnock」を始めたのはどういう経緯だったのか教えてもらえますか。

 

 伊沢  そもそも僕がクイズを活用するウェブサイトとして「QuizKnock」をつくったのは、意外と社会問題的な経緯があります。ちょうど当時、医療系の粗雑な知識や、フェイクニュースなどがネットの海に大量に流れていて、しかも情報を受け取る側は非常に受動的にものごとを受け取っている、というのが社会問題になっていました。

 

一方で僕はクイズをずっとやっていて、これは使えるな、と思ったんですね。クイズって、情報を得る時に必ず能動的にさせられるんですよ。ニュースが普通に書いてあるだけだと読み飛ばしちゃうけど、クイズとして問いかけてみることによって、一度その問題を能動化できるんですね。

 

クイズはニュースバリューのあるものや知っておいてほしい知識を伝えるツールとして、非常に向いているんじゃないか。そう考えて「QuizKnock」というメディアをつくったんです。

 

なので、「QuizKnock」は基本的にはメッセージキャリアでありたいな、という思いはずっと持っていて。伝えたいメッセージをクイズという形のエンターテインメントに落とし込みつつ、動画を見た後にそのメッセージが残っている。この2つの両立を目指しています。

クイズ王が見る、新時代にあるべきリーダー像とは

 あべ  いまの時代、インターネットだとみんなの手元に届くのは単体の記事だよね。スマートニュースとかグノシー、LINEニュース、あるいはFacebook・Twitterとか、情報を伝えてくれるプラットフォーマーがいて、そのプラットフォーマー上の記事を見ると。

 

その記事を書いているメディアが、どういうメッセージ性を帯びているのかはわからない。そういった中で、メッセージ性をちゃんと維持できるメディアが新しい時代に残っていくと思うんだよね。


「QuizKnock」もそういうメディアの一つだと思っているけど、メッセージ性を一回持っちゃうと、そこから外れたことが非常にやりづらい、というジレンマがあるよね。

 

 伊沢  一方で文脈を持っていないメディアになってしまうと、文脈を勝手につけられてしまうことはあるなと思っていて。そこはやはりジレンマですよね。

 

ある種の恣意的な文脈付けが、文脈のない情報に対して行われてしまう。メッセージ性を持つこと持たないことにそれぞれメリット・デメリットがあるから、メディア運営というのは非常に難しいなと日々感じていますね。

 

 あべ  メディアとか社会、政治の議論をする時って、聞き手に対して敏感になっちゃうよね。特にメディアは広告ビジネスであることが多いから、多くの人が見てくれないと成り立たない。ある意味、メディアのあり方って見てる市民側のあり方とセットになる気がする。

 

それは政治でもそうで。政治家も結局選ぶのは有権者側。そう考えると、市民が求めるリーダーシップが10年20年でずいぶんと変わったかな、と思ってるんですね。いまはみんな、わかりやすい人についていってしまいがち。そういう現代社会におけるリーダーシップのあり方をどう見ていますか。

 

 伊沢  国民が共有しているカルチュラルリテラシー、いわゆる常識だったりとか、国が持っている共通の話題みたいなものが社会の中から失われていったことによって、何を基準にすればいいかわからない時代になったとも言われていますよね。その中で、「AはBなんだ」「賛成だ」「反対だ」という風にスタンスが明確であることは、迷っている人から求められやすい。

 

でも、僕が大学院に行っていた時に思ったのは、知や情報に対して真摯であることは、“直言” ではない。演繹的に考えず、その場その場でゼロとイチのあいだにある何か良さそうなところを逐一判断していく方が、リーダー像として求められている正しさなのかなと思っていますね。

ワイドショーの伝えかたは危ない?!クイズを前提にしたつくりになっているテレビ

 伊沢  クイズというのは非常にメッセージを含んでいるものなので、うまくメッセージを伝えることにも、人を騙すことにも使えるものだということは、テレビ側にいる人間としては言っておきたい。

 

 あべ  伊沢くんは東大を出て、手前にいろんな選択肢がある中でも、それでもクイズだなと思った理由はどういうところにあるんですか。

 

 伊沢  解決したい課題があったというのが一番です。ひとつには、ニュースや情報の見方を伝えたかったというのはあります。それとはまた別に、クイズをやっている知識溢れる東大生たちが、クイズ作成の現場で実質時給800円とかで働いていたんですよね。すごい嫌だな、クイズの地位めっちゃ低いじゃん、と思って。

 

良い面も悪い面も両方あるけれど、メッセージを伝える強力なツールであるクイズがこんなに買い叩かれている。それを変えたいと思って「QuizKnock」を始めました。

 

俺は中学から舞台を踏んできてクイズの危険さをわかっているから、俺がやるべきだ、と思ったのもあるかもしれないですね。


早稲田大学で研究されていた黄さん(黄菊英さん)が『クイズ化するテレビ』という本を書いていて、テレビのコミュニケーションはほぼ全てクイズであると。

 

日本のテレビはクイズを前提にしたつくりになっていて、ワイドショーのフリップめくりもそうだし、CMまたぎで「さあどうなるのか?!CMのあと!」みたいなのもクイズです。

 

情報の伝達の仕方として、一部のワイドショーとかは怖いなと思うんですよね。クイズは強く注意を喚起できるし能動化もできる。しかし、情報に色付けしやすいものなので、恣意性が働きやすいツールであることはしっかり認識して使わないといけない。

 

(動画全編につづく)

 

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【オンライン勉強会「リディズバ」第28回(5/2開催)】

・テーマ:クイズ王なら社会問題のポイント、すぐにわかるはず!?

・語り手:安部敏樹、ゲスト:伊沢拓司さん

・時間:約81分間

 

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