父子家庭:【父子家庭】可視化されづらい「シングルファザー」の実態 | リディラバジャーナル
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2020/4/15(水)
【父子家庭】可視化されづらい「シングルファザー」の実態
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【父子家庭】可視化されづらい「シングルファザー」の実態
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「ひとり親」と言えば反射的に母子家庭が想起され、これま

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「ひとり親」と言えば反射的に母子家庭が想起され、これまで可視化されてこなかった父子家庭の実態。父子家庭をめぐる問題には、家族のあり方や「男性社会」とも言われる日本の労働慣行、社会支援のあり方といった多岐にわたる論点が凝縮されている。父子家庭を「父」「子」「社会」という視点に分け、問題の構造を探る。

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「もし奥さんと突然死別したり、離婚したりしたら、父親であるあなたが子育てをし、同時にいまの仕事を続けることができますか?」

 

全国父子家庭支援ネットワーク代表理事の村上吉宣さんは、そう問いかける。

 

現在、全国のひとり親世帯の数は、推計で142万世帯とされている(「平成28年度の全国ひとり親世帯等調査」/厚生労働省)。

 

その内訳は、母子世帯が123.2万、父子世帯が18.7万。ひとり親の7世帯に1世帯は「父子家庭」だ。

 

ここ数年でひとり親の貧困問題などがクローズアップされる機会が増え、ひとり親が多くの社会問題と連関していることは広く認識されるようになった。

 

だが、そのひとり親は主に「母子(シングルマザー)」に焦点を当てられることが多く、「父子(シングルファザー)」が抱える問題は見過ごされがちだ。

 

そんな現状について、自らも父子家庭の父である村上さんは、次のように話す。

 

「メディアでも、ひとり親と言えば、やはり母子家庭が取り上げられることが多い。そのため、社会から自分たちの存在が見えていないんじゃないかと、不安や不満を感じている父子家庭のお父さんたちは大勢いると感じます」

データからは見えない父子家庭の実態

村上さんは、息子が1歳、娘が0歳のときに離婚し、母親による育児が困難だったことから親権を持った。それ以降、父子家庭として17年を過ごしてきた。

 

「『なぜこんなに子育てをしにくい世の中なんだろう』というのは、ずっと感じてきました。僕の場合は、自分自身が病気を抱えていたのと、息子にも病気があり、娘は反抗期があって、とても難しかったんです」

 

そう話す村上さんだが、現在は母子家庭と父子家庭に対する社会的な支援がほとんど平等になるまでに是正されたことをはじめ、ポジティブな兆しも感じているという。

 

5年ごとに実施されているひとり親に関する厚生労働省による調査も、前回の2011年は「全国母子世帯等調査」として行われたが、2016年には「全国ひとり親世帯等調査」に名称が改められた。

 

「ひとり親における絶対数が多く、関心が集まりやすい母子家庭にフォーカスが当たること自体に、異論はありません。母子家庭に対する社会的関心が高まり、支援が充実すれば、いまなら結果的に父子家庭に対する支援も充実しますからね」(村上さん)

 

 

母子家庭が着目されやすい背景には、経済的な事情もある。前出の調査によれば、平均年間収入(母又は父自身の収入)は、父子家庭は420万円である一方、母子家庭は243万円にとどまる。

 

就業状況でも、正規の職員・従業員は父子家庭が68.2%であるのに対し、母子家庭は44.2%だ。そのため、母子家庭は子どもの貧困とセットで語られることも多い。

 

ところが、こうした統計上の主要トピックスからは見えない実態があると、村上さんは指摘する。

 

「たしかに数字だけを見ると、父子家庭は母子家庭よりも収入が高く、経済的に問題がないように思われるかもしれません。ただ男性が世帯主として住宅ローンなどを抱えていれば、一定の収入があっても返済にあてなければならない。そんな苦しい経済状況に直面している父子家庭は少なくないのが実情です」

 

さらに、父子家庭になる以前の収入を維持するために仕事や働き方を変えることができず、育児に手が回らなくなるケースもあるという。 

子どもの問題行動への影響とは

そうした現実から浮かび上がってくるのが、父子家庭における子どもの発育への影響だ。

 

核家族かつ父子家庭である場合、父親が育児に時間を割けなければ、子どもは必然的に一人、あるいは兄弟姉妹などの子どもたちだけで過ごすことになる。

 

 

「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構/2012年)によれば、「平日、保護者と子どもが過ごす時間」は、父子家庭では「1時間未満」という世帯が19%に上っており、母子家庭の6%やふたり親家庭の3%を大幅に上回っている。

 

また、「2時間以上ある」という世帯は、父子家庭の場合は66%にとどまり、母子家庭の82%、ふたり親家庭の90%と比べると、大きな開きがある。

 

「親子としての愛着を形成し、維持するためには、一緒に過ごす時間は欠かせません。ですが、長時間労働などを強いられ、子どもと十分な時間を過ごせない父子家庭の父親は多い。それもまた、父子家庭ならではの深刻な課題です」と村上さんはいう。

 

こうした親子の一緒に過ごす時間やコミュニケーションの不足が子どもの問題行動を引き起こすなど、新たな社会問題を生むのではないかという指摘もある。

 

心理カウンセラーの岡田豊さんは、父子家庭に焦点をあてたひとり親家庭における非行問題についての研究で、父子家庭の子どもの犯罪・補導発生率は、ふたり親家庭よりも10倍以上高いことを明らかにした。

 

同研究結果について岡田さんは「子どもの非行問題の要因は父子家庭にあると断定することはできない」とした上で、子どもが非行に至る要因は複合的であると強調する。

 

「それでも、父子家庭にはまだまだ可視化されていない課題は多くあると感じます。それは父子家庭に焦点があたってこなかったことも大きい。父子家庭の問題を解決するためには、まず課題解明が必要です」

日本社会の問題をあぶり出す父子家庭

本特集では、これまでに可視化されてこなかった父子家庭の実態やそこで生じている問題に目を向け、その構造を明らかにすることで、社会問題として考える視座を提供する。

 

 

父子家庭をめぐる問題には、家庭内における役割分担や「男性社会」とも言われる日本の労働慣行、社会支援のあり方といった多岐にわたる論点が凝縮されている。

 

さらに、ひとり親に対する社会的支援があるにもかかわらず、それらを利用しない選択をするなど父子家庭特有とも言うべき傾向があることがデータから見えてきている。

 

父子家庭はどのような問題を内在しているのか。それらはどのようにして社会における問題として表出するのか――。

 

父子家庭を「父」「子」「社会」という視点に分け、本記事を含めて全10回でお届けしていく。

 

第1章 父親側から見る父子家庭

 

 

第1回【「子育てするほど収入は減る」――シングルファザーが語る現実】では、娘との父子家庭生活を送るシングルファザーへのインタビューをお送りする。

 

第2回【いま父子家庭はどのような困難に直面しているのか】では、父親側から見た父子家庭の実態から、直面している困難について浮き彫りにしていく。

 

第3回【「イクメン」は死語か?“男性学”から考える父の子育て】では、父子家庭を考える補助線として、男性による育児の難しさを「男性学」から考える。

 

第2章 子ども側から見る父子家庭

 

 

第4回【父子家庭で育った子どもは「シングルファザー」をどう見たか】では、12歳で母を亡くし、以降シングルファザーのもとで育った男性に話を聞いた。

 

第5回【非行問題から考える、父子家庭が子どもの発育に与える影響】では、父子家庭と子どもの非行発生率の相関を示すデータの解釈について心理カウンセラーに聞く。

 

第6回【父子家庭で育った子どもが抱えやすい困難と、その実態とは】では、子ども側から見た父子家庭の実態をもとに、子どもが抱えがちな困難について探る。

 

第3章 社会から見る父子家庭

 

 

第7回【「相談のうち99%はシングルマザー」求められる父子家庭への社会的支援】では、父子家庭が必要とする社会的支援がどのくらい届き、機能しているのかを探る。

 

※記事配信予定は都合により変更になる場合があります。

 

 

 


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