コロナショックと飲食業 ~気鋭の経営者3者インタビュー~ | Ridilover Journal(リディラバジャーナル)
いまこそ学び直し!あべとしきと考える社会問題の構造20
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2020年4月。新型コロナウイルスの感染拡大により、すべての人が、ひとつの社会問題の「当事者」となりました。不安に溢れる今だからこそ、困難な状況にある人たちへの想像力をもち、社会全体で「やさしい関心のセーフティネット」が築けたら――そんな思いで、私たちリディラバは、4月5日から毎日毎晩、社会問題に関するオンライン勉強会「リディズバ」をスタートしました。 熱量あふれる勉強会のようすを、記事と動画でお届けします。
2020/5/7(木)
コロナショックと飲食業 ~気鋭の経営者3者インタビュー~
2020/5/7(木)
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コロナショックと飲食業 ~気鋭の経営者3者インタビュー~
2020/5/7(木)
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 あべ  新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛要請を受け、飲食店を訪れる客数は激減。壊滅的なダメージを受けており、この状況が長引けば、2020年内には7~8割の飲食店が廃業に追い込まれるとの見方もあります。

 

売上が2分の1、3分の1……と減っていく中でも、家賃は払い続けなければいけない。借り入れの返済は続いていく。先の見えない不安の中、いま、飲食業はどのような困難に陥っているのでしょうか。

 

今回は、飲食業界から3名のゲストをお迎えし、コロナショックの渦中にある飲食業の実情を伺いました。


ゲストは、伊右衛門カフェなどの店舗プロデュースを手掛ける飲食プロデューサー・周栄行さん、全国で焼き肉店等を経営する飲食店経営者・松山知弘さん、クラフトビールのメーカーとして操業する傍ら直営店を展開するFar Yeast Brewing 代表取締役・山田司朗さんの3名です。

 

 

※上記ダイジェスト動画・本記事は、リディラバ主催のオンライン勉強会「リディズバ」第16回(4/20開催)を要約・編集したものです。

動画全編は記事末尾にあります。リディラバジャーナル有料会員の方、もしくは有料会員の方によるシェアURLから記事をご覧いただいている方は、ご視聴いただくことができます。新規ご登録はこちら

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安くてウマイが危機には弱い?!日本の飲食業の「構造」的な課題

  周栄  日本って先進国の中でも、飲食店の参入障壁がものすごく低いんです。たとえばニューヨークだと、アルコールの提供にはリカーライセンスが厳密に決められていて、そのエリアで100店舗までしか飲食店を出せませんとか、アムステルダムに至っては、業種業態までを行政がコントロールしているんですね。


日本では参入障壁が低いことで、過当競争が起きていた。それは良し悪しで、それによって安くて品質の高いものが提供されていたという半面、こういう事態になると、ピンチに陥ったときの耐性が弱い。

 

 あべ  旅行業・観光業の視点からみると、インバウンドのマーケットがここ数年でどんどん大きくなってきていますよね。

 

実はインバウンドって、日本の飲食業の過当競争という殴り合いの中で、「安くて美味しいものが食える」ということを、海外から人を連れてくるときの一番のウリにしていきましょう、という戦略でやってきていた。


訪日外国人を増やしましょうというのは、実は日本国内の飲食業界にフリーライド(タダ乗り)していたという構図があったと思うんです。

 

 松山  インバウンドにおいても重要な役割を果たしてますし、諸外国・先進国ではあり得ないクオリティのものが、あり得ないプライスで提供されている。それはすなわち、社会全体にとっても、喜びであって節約にもなっていると。


そうした点において、飲食業が社会に貢献してきたというのは事実だと思います。

 

 あべ  多くの雇用も引き受けていたわけですしね。

 

 松山  400万人が飲食業に従事してきて、就業者の割合でいえば6~7%にあたります。

 

 あべ  それだけの数の雇用者がいるわけじゃないですか。そうすると、本来はもっと政治的パワーが強いはずなんですけど、なぜここまで政治力が弱いんだ、という疑問があります。ひとつは、業界団体がちゃんとしてなかったということなのかと思うんですけれども。

 

 松山  誰でも、保健所と消防の許可が取れれば、明日にでも始められる。そういう業界であるがゆえに、きわめて事業者の数が多いんですね。


外食産業が25兆円とあるのに対して、トップの企業でも5000億円程度。市場規模からしたら数パーセントにしかならない。

 

自動車業界なんかと違って、とにかく有象無象のまとまりのない人たちがたくさんいる、というのが飲食業界なので、声を上げてまとまろうにも、そもそも俺たちしのぎを削り合ってる相手だぜ、みたいな感じなんですね。なので業界団体も大きなものにならないというのがあるんじゃないかな。

「今月の家賃が払えません」という問題の先にあるもの

 あべ  家賃を払いつつも稼ぎがない店舗ばかり……という状態になっちゃってると思うんですけど、これ単純に厳しいですよね?

 

 松山  リアルな話、今日もまた不動産のオーナーさんに、5月の賃料をもう少しなんとかならないんでしょうか、というお電話を差し上げて、今日1日を終えたところです。


長い商売をさせてもらっているところで、信頼関係があればあるほど、そりゃ大変だよな、賃料はいくらでもいいからと仰っていただける方もいらっしゃいます。


ただ、不動産投資業をされている方は、当然向こうにローンがあるので、自分たちのローン返済がむずかしくなるということもありますし、大手の商業施設になればなるほど、その回答が遅くなったりということもありますね。

 

 周栄  僕は去年、まさに大手企業がジョイントベンチャーでやっている商業施設にお店を出したんですけれども、賃料はめちゃくちゃ高くて、集客力はまあまあだけど、「あそこにお店がある」というブランド力が欲しくて出店したわけなんです。


そうした商業施設ってまさに、そもそも交渉に応じそうもない大手企業の集合体なので、意志決定が爆裂に遅くて。2月、3月の段階から「賃料が払えなくなりそうなので、なんとかなりませんか」と言ってきたんですが、ゼロ回答だったんです。


3月の後半に、いよいよこれはヤバイねとなったときに「検討します」とだけ連絡がきて、4月の賃料がどうなるか未だに連絡がないんですけど……。

 

今回のコロナ危機で、不動産オーナーと飲食店の関係が、大きく変わると思っています。危機的状況になったときに、固定費としていちばん大きいのが、社員の人件費と賃料なんですけれども、これらを変動化する流れをつくれないかと。つまり、売上をシェアするレベニューシェアみたいな、あたらしい賃料の形態をつくっていけないかなと考えているんです。

 

不動産オーナー側は、今の状況を、過小評価していると感じています。短期的な利益だけを見ると、賃料の減免に応じないという話になるとは思うんですけど、いま入っているテナントが出ても、まあ場所がいいしすぐ埋まるだろうという感覚の大家さんが未だに多いと思うんです。


でも、(コロナの打撃で)飲食店のプレイヤー数自体が相当減って、退場したまま、一定数は戻らないと思うんですよ。

 

同様に、今回で、商業施設というものの価値が決定的に終わりを迎えたな、という印象があります。


百貨店や大型商業施設というものの価値が、地方は別として、都心部において、もうこれ以上必要ないんじゃないかと。今後、大型商業施設に、質のいい飲食店が入ることがなくなるんじゃないかなと思いますね。

大量倒産を防ぐために、個人ができること・行政にできること

 あべ  いま、個人としてできることは何なのでしょうか。

 

 松山  一般の方々にやってほしいことは、シンプルに、自分が好きなお世話になっていたお店を思い出してほしいんですね。思い出したら、インターネットで調べる。

 

そうしたら、テイクアウトをやってるかもしれないし、一生懸命がんばってるかもしれない。それを買ってあげたり、立ち寄ってあげたりしてほしいんです。


それから、そのときばかりは、お支払いは「現金」! キャッシュでしていただけると、お店はとてもとても助かります。


また、お近くに飲食をやっている方がいたら、「頑張ってね」「またいつか、行くからね」というメッセージを送ってあげてほしいです。

 

 周栄  「再開したら、必ず予約入れるからね」と言ってくれることで、最後の最後ふんばれると思います。

 

 あべ  国など行政の対策については、どうですか。

 

 松山  国の補償については、額・やり方そのものよりも、スピードが本当に足りないですね。このままでは、どうやってもたくさんの店が死ぬ。


第一に、何かしらの支払いの猶予をする。第二に、雇用を前提とした緊急融資をすぐにする――いわば、雇用調整助成金を先払いにしちゃう。貸してやるからみんな頑張って雇用を維持しろ、と。


つぶれた後に、助成金出ますけどどうします?って言ったって、何の意味もないですから。

 

 周栄  刻一刻と、多くの飲食店が死に向かっています。スピードが本当に大事ですね。

 

 山田  補助金、助成金、ありがたいんですけど、50万円じゃ焼け石に水……という側面もあります。家賃だけで50万円ということはザラにあるので。


じゃあどうすればいいかというと、お金じゃなくて仕事をもらった方が、いくらか健全かなと。


需要がこういうふうに究極に蒸発しちゃってる段階では、無理やりにでも公共の需要を創るしかないと思うんですね、なので止まってしまった分のお弁当とかそういうものを、飲食事業者に、事業、ビジネスとしてオファーをする、ということができたらいいなと思います。

 

 あべ  なるほど。コロナによって起きたことのひとつに、学校の給食が健康のセーフティネットとなっていた貧困家庭の子どもたちの問題がありまして。

 

学校がなくなってしまったために、栄養的なサポートが必要になってきているという課題があって、そこに対して公的な機関がお金を出して買い上げる、というような形はあり得ますよね。

 

飲食業の方は、課題の当事者でもあるけれども、別の課題を助けにもいけるよね、というのは、働く人のモチベーションにもなるので、すごくいいなと思いました。

 

~この後も、アフターコロナの飲食業の未来、その希望について、熱い談義が続きました~

 

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【オンライン勉強会「リディズバ」第23回(4/27開催)】

・テーマ:コロナ危機に苦しむ飲食店の実態に迫る

・語り手:安部敏樹、ゲスト:周栄行さん、松山知弘さん、山田司朗さん

・時間:約96分間

※なお、登壇者の通信環境により、一部、映像に音トビが発生している箇所がございます。ご視聴の方にはご不便をおかけし申し訳ございません。

 

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