いまこそ学び直し!あべとしきと考える社会問題の構造20
2020年4月。新型コロナウイルスの感染拡大により、すべての人が、ひとつの社会問題の「当事者」となりました。不安に溢れる今だからこそ、困難な状況にある人たちへの想像力をもち、社会全体で「やさしい関心のセーフティネット」が築けたら――そんな思いで、私たちリディラバは、4月5日から毎日毎晩、社会問題に関するオンライン勉強会「リディズバ」をスタートしました。 熱量あふれる勉強会のようすを、記事と動画でお届けします。
2020/7/7(火)
モメンタムを生み出していくために——これからのメディアに必要なこと
2020/7/7(火)
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モメンタムを生み出していくために——これからのメディアに必要なこと
2020/7/7(火)

オンライン勉強会「リディズバ」で、たびたび取り上げられてきた国内のメディアの課題。インターネットやSNSの発達を受けて、いまメディアの役割や存在意義が改めて問われています。

 

今回は、語り手・安部敏樹(あべとしき)が視聴者の感想やコメントに答えながら、これからのメディアに必要なことについて考えていきます。

 

 

※上記ダイジェスト記事・本記事はリディラバ主催のオンライン勉強会「リディズバ」第30回(2020/5/4)を要約・編集したものです。

※動画全編は記事末尾にあります。リディラバジャーナル有料会員の方、もしくは有料会員の方によるシェアURLから記事をご覧いただいている方は、ご視聴いただくことができます。新規ご登録はこちら。(非会員の方でも、シェアURLから1週間無料で該当記事を読むことができます)

対話の場がないことの危険性

 

最終日に寄せられた感想:
「リディズバで扱うテーマって、リアルの友達とも、ツイッターで出会った人たちとも話したいとは思うものの、なかなか怖くて話せない。リディズバは安心して自分の言いたいことを言ったり、他の人の意見を聞いたりできる場でした」

 

以前、「あいちトリエンナーレ2019から改めて考える『表現』の行方」という連載を掲載したときに、芸術監督の津田大介さんにインタビューしました(【津田大介×安部敏樹】あいトリ騒動を経て「表現の自由」を問い直す)。

 

津田さんと話していておもしろいなと思ったのは、「表現の自由は公共性や公序良俗、公共の福祉などと対立する概念になりやすい」ということです。

 

表現の自由があるからといってなにをやってもいいわけではない、という話があったときに、どこまでが公共の福祉で、どこからが表現の自由なのかという議論が出てくる。その境界線は、異なる意見を持つ者同士が主体性を持って向き合い、話し合い、ぶつかり合うことでしか引くことができません。

 

逆に言うと、どちらかが境界線を引くことに主体的ではなくなってしまった時点で、その議論の答えを出すのがかなり難しくなってくるんですよね。

 

そういう意味では、主体性を持って議論する対話の場が少ない、ということは非常に危険です。表現の自由に限らず、民主主義を守っていくことや、みんなで社会を作っていくことにおいても、対話の場はとても重要ですよね。

メディアは受け手の行動変容を促すもの

 

最終日に寄せられた感想:
「私はずっとメディアで働きたくて、入試のときにジャーナリズムを教える学科は日本にはないのだと知り、新聞記者になるしか選択肢はないのだと諦めたけど、堀さん、伊沢さん、安部さんがメディアをやっていることに感動した。できるのかもしれないと思えた」

 

僕らはもともと「旅行はメディアである」という考え方からスタートした、メディアカンパニーでもあります。

 

多くのメディアが視聴率やPV(ページビュー)数を重視していますが、それは「その人の時間をどれだけとれたか」という指標がメディアの生命線になるからです。

 

そう考えたときに、情報を「薄く広く」届けるメディアはいっぱいあるけど、「濃く深く」届けるメディアはあまりないなと思ったんですね。

 

情報を濃く深く届けることができて、なおかつさまざまな人の問題意識が反映されるプラットフォームをつくれたらおもしろいなと思ったときに、「旅行」というフォーマットはテレビやドキュメンタリーよりもはるかに多くの時間をもらえて、しかも参加者に大きな行動変容を起こせるポテンシャルがあると感じました。

 

そうした考えのもと始まったのが、リディラバのスタディツアーでした。社会問題の現場に行くことのインパクトってかなり大きくて、行動変容が生まれやすいんですね。

 

一方で、スタディツアーは情報を届ける範囲が狭くなってしまうところもある。だから、情報を広く届けるためのメディアとしてリディラバジャーナルを始めたんです。

 

新聞記者になるという道以外でも、メディアについて学んだり、あるいは新しいメディアを立ち上げることはできると思います。

 

そして、僕はメディアを運営するなかで「そもそも論」を問うことができるか、ということが重要だと思っています。問題に対する認識をゼロベースから定義して、受け手の行動変容を生み出していくこと。それがメディアの本質だと思っています。

「モメンタムアジェンダ」を持っていることが価値になる

メディアに関して言うと、日本のメディアはこれまでモメンタムをつくってこれたのか、という問いがあると思っていて。

 

この前、韓国のメディア人と話したときに「いま韓国の新聞社が困っているんです」と言っていたんですね。「顧客をインターネットメディアにとられて大変なのもあるんだけど、次のアジェンダを見失ってしまっている」と。

 

これまでは「自由市場」と「民主主義」の2つを国に導入することがビッグアジェンダでした。ある意味、韓国の新聞社には、メディアからモメンタムをつくって市場を開放し、民主主義を勝ち取ったという認識があるわけです。

 

この話を聞いたとき、僕は恥ずかしくなりました。日本のメディアはもっと大きなモメンタムをつくりうるポテンシャルがあるにもかかわらず、それを成し遂げてきていない。

 

いま、そのモメンタムをリディラバでつくっていかなければと思ってますね。「優しい関心のセーフティネット」、「自己責任論からの脱却」、「社会課題の解決に対する新しいマーケットの創出」……。僕は、こうしたみんなを巻き込むための「モメンタムアジェンダ」を持っていることがメディアの価値だと思うんですね。

 

インターネットが発達した現代において、一次情報は現場にいる人がSNS等を通じて発信しています。組織としてメディアを運営していく以上は、大きなモメンタムに向かって走っていかなければ、やっている意味があまりないんじゃないかなと思っています。
 

 

(動画全編につづく)

 

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【オンライン勉強会「リディズバ」第30回(2020/5/4開催)】

・語り手:安部敏樹

・時間:約84分間

 

▼動画全編▼

 

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