都内新規感染者1000人超えのいま、現場の医師が訴えるコロナ対応の課題
都内新規感染者1000人超えのいま、現場の医師が訴えるコロナ対応の課題
2020年の終わり、東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多の1,337人確認された。入院患者も重症者数も増加傾向にあり、医療現場からは悲痛な声があがっている。2020年4月に取材した千葉県勝浦市の塩田病院に勤務する青木信也医師から再び、現場の声を取り上げてほしいとのご連絡をいただき、現在の実情と訴えについて話を聞いた。
※本記事は12月29日夜に青木医師にZOOMで取材、1月1日朝までに書面でやり取りした内容にもとづいています。
医療法人SHIODA塩田病院総合診療科・部長。2007年滋賀医科大学医学部卒業。地域で役に立つ医師を目指して初期研修から湘南鎌倉総合病院で過ごし、小児から高齢者までどんな主訴の人も診る北米型ER(救急救命)研修を積む。その間、鹿児島や沖縄の島々で離島研修も経験。2013年北海道松前町立松前病院で「総合診療医」として慢性期外来、病棟、訪問診療、終末期ケアなどに従事し、市立函館病院の要請で道南部のドクターヘリにも乗る。長崎県上五島病院で1年間の離島医療+オーストラリア、クィーンズランド州での3ヶ月のrural general practitioner研修を経て、現在にいたる。「地域での医学教育」「地域医療」を自分の軸にしている。
局所的なロックダウンが効果的ではないか
――4月にも取材させていただきましたが、その後また医療現場がひっ迫していると聞いています。現実社会で、1人の感染者が直接感染させる平均人数をあらわす「実効再生産数」も1.0を超える状態が続いています。感染者数自体も増加しているので、このままだと、どんどん感染者が増えていく状態です。青木先生は今後の見込みをどのように考えていますか。
このままの状態では、指数関数的に増えていくでしょう。とくに若い人たちには、「コロナは風邪と同じでしょ」と思われてしまっています。
確かに、若年者の重症化リスクは低いですが、高齢者など免疫力が低い人にうつしてしまうと、感染した人の重症化リスクは高い。あっという間に命が奪われてしまうこともあります。
母数となる感染者数が増えると、その分子となる重症患者の数も増えます。重症患者に対応できる病床には限りがありますので、医療現場はひっ迫し、他の病気の手術などにすぐに対応できない状態になっていきます。
現在はコロナへの対応方法が少しずつ分かってきたこともあり、重症化してから亡くなるまでの期間が長くなっていて、より病床が圧迫されています。
――いま、どんな対応が求められているとお考えですか。
一律にロックダウンして経済をとめることは難しいと思うので、感染経路をきちんと追跡できる状態にしたうえで、局所的なロックダウンをしていくのが効果的だと考えています。
オーストラリアのクイーンズランド州などではそうした対応が功を奏しています。
神奈川県や埼玉県などでも飲食店などに入店したタイミングで、施設に掲示されたQRコードをLINEなどで読み取れるようにしておき、市民の感染経路を追跡できるようにしています。
ただ、事業者は県に登録が必要ですし、お客さんは県のコロナ専用LINEアカウントに登録する必要がありますし、十分に広まっているとは言えません。
慰労金支給額の差に不公平感も
――コロナ対応で精神を病んでしまい、休職中の看護師の方からは、ある程度経験があって、独身でひとり暮らしであるということで仕事が集中したことがストレスだったと伺いました。病院内の医療従事者の方の状況はどうですか。
確かに、諸々のリスクから単身者の方への負担が増えがちです。若い単身者以外だと、子どもがすでに巣立っていった人くらいしか最初に声をかけられないというのはありますね。
ーー医療従事者間でもしわ寄せの度合いが異なる、と。
そうですね。私もSNSなどで看護師をやめますという声は見ます。同居家族がいる人でも、自宅に帰らず1ヶ月ぐらい共同宿泊施設で暮らしている人もいます。
うちの病院では、コロナ陽性患者だと判明した人は受け入れないと決めてやっていて、公立病院のほうでコロナの陽性患者を受け入れ、救急の患者はうちで受け入れるというかたちで、地域内で役割分担をしています。
ですが、うちの病院でも外来では発熱患者などを診ているので、コロナかどうか分からない患者さんは来ますし、診察をします。
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