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公開日: 2023/3/22(水)

結婚出産で返済減免? 奨学金・自民党の政策案を安部が深掘り

公開日: 2023/3/22(水)
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結婚出産で返済減免? 奨学金・自民党の政策案を安部が深掘り

公開日: 2023/3/22(水)
オーディオブック(ベータ版)

毎週水曜日、Twitterスペースでお届けしている「#あべラジオ」

 

今回は、「結婚出産で奨学金を減免 自民党の政策案」を取り上げました。

 

先日、自民党の教育・人材力強化調査会は、「奨学金の貸与を受けた人が子どもをもうけた場合、返済額を減免する」という政策案を取りまとめました。

 

奨学金の返済と出産を結びつけるこの案は各メディアに取り上げられて話題を呼び、最終的な提言に盛り込まれることはありませんでした。

 

しかし、その後も自民党少子化対策調査会長の衛藤晟一(えとう・せいいち)氏が、子ども政策に関する党会合で、「地方に帰って結婚したら奨学金の3分の1、1人出産したら3分の1、2人目が生まれたらもう3分の1」返済を免除するという発言をし、議論を呼んでいます。

 

少子化対策と奨学金問題、ふたつの課題が絡み合う政策の背景を、安部さんに聞きました。


聞き手はリディラバジャーナル編集部の鈴木です。
 

※記事は「#あべラジオ」を編集してお届けしています。全編を聞きたい方はこちらから↓。

 


「奨学金を盾にして」
話題を呼んだ自民党の政策案

 鈴木  安部さん、出張帰りですね。不穏なツイートを見ましたよ。

 

 

 安部  気づいたら副市長の家で吐いてました。楽しい夜だったな。

 

 鈴木  副市長の家で吐くのはダメじゃないですか?

 

 安部  盛大に吐きましたね。これも仕事の一環です。

 

 鈴木  はい、気をつけてください(笑)

 

今日のテーマは「​​結婚出産で奨学金を減免」という政策案です。

 

 安部  地元に戻って結婚したら奨学金を減免、そこで子どもを出産したらさらに減免、ってやつね。

 

 鈴木  そうです。

 

自民党の少子化対策調査会長を務める衛藤晟一氏が、党の会合で発言して、いま話題を呼んでいます。

 

 

 安部  奨学金を盾にして、地元に戻らせて子供を産ませようとしてるんじゃないかという見方もできるんじゃないかと。

 

 鈴木  リディラバジャーナルでは「奨学金制度」の特集も実施してますので、今日はこのテーマで安部さんに色々と聞いていこうと思います。

 

なぜ少子化対策に奨学金免除なのか

 安部  今回、衛藤氏の「地元に戻って」という発言によって、問題がより複雑になったなという感じがあるんだけど、結婚や出産によって奨学金の返済を免除するって議論は昔からあったのね。

 

もっと言うと、一部のソーシャルセクターから自民党サイドに提案している政策案なんだよね。

 

 鈴木  現場で当事者の支援をする中で、奨学金の課題が見えてきたわけですね。


 安部  「奨学金の返済が負担になって、出産に踏み切れない」という人たちが実際にいるということで、現場の声を基にした提案になってますと。

 

一方で、当事者ではない人やメディアから、所得が低くて奨学金が返せない人たちに対して、返済免除を盾に子供を産ませようとしてるんじゃないか、みたいな問題提起があった。


さらに今回、”清く正しい”自民党員が「地元に戻ってこい」という意見を加えて、さらに議論を呼んでるわけ。

 

 鈴木  少子化対策としての奨学金免除について、安部さんはどう思いますか。

 

 安部  悩ましいよね。

 

現実的な話として、少子化対策を政策化する中で、どこにネックがあるかと言うとやっぱり予算なわけよ。

 

 鈴木  財源どうするの、と。

 

 安部  そう考えると奨学金って、既に出しているお金の返済が無くなりますって話だから、新たな財源を必要とはしなくて、政策として進めやすくはあるんだよね。

 

結局、別の財源から返済額を補填しなきゃいけないから、財政的には同じなんだけど、新しい財源を作るよりは推進しやすいと。

「反対」と「反動」 
少子化に予算が回せない理由

 安部  これが現実論なんだけど、一旦現実を無視して、正論・あるべき姿から考えてみるとさ。


今この国は、社会保障費に年間100兆円以上をつぎ込んでいて、その財源は現役世代から集めていますよね。

 

現役世代から集めた社会保障費のほとんどが高齢者に使われていて、現役世代や子どもたちには全然還元されてない。

 

出産関連の費用だったり、保育園の費用だったり、あるいは教師の残業代や学童保育も含めて、子育て支援に大きな財源を割り振るのが理想論だと思うんだよね。

 

 鈴木  社会保障費が使われる先をシフトしていくと。

 

 安部  ただ、現状の政治力学的に、自民党でそのシフトチェンジは実現しにくい。

 

彼らの票田は、地方に住んでいる年代の高い層が中心になっているから、支援者たちに向かって「高齢者の予算を子供に回します」とは言えないわけですよ。

 

 鈴木  反発されちゃう姿が目に浮かびますね。

 

 安部  じゃあさらに国債を発行して新たな借金で財源を作ろうって意見もあるんだけど、それも現実的には難しい。

 

この10年、安倍政権がめちゃくちゃお金を使ってきて、効果は限定的だったことへの「反動」が政治的力学として働いていて。

 

借金を増やしていくよりは、財政規律を守っていく動きが強まっている中で、新たに子供たちのためにバーンとお金を使いましょうって言えている自民党の勢力ってほとんどいないんですね。

 

 鈴木  既存の社会保障費のシフトも、新たな財政出動も、現状の自民党政権では起こりづらい力学があると。

 

 安部  勝手にそう想像しています。

「ひどい制度」 
2人に1人が利用する奨学金の問題

 鈴木  ここまでは少子化対策の話でしたが、このニュースの背景にあるもうひとつの問題は「奨学金の返済」ですよね。

 

本人や家族が学費を負担することを前提に、今では大学生の約半数が奨学金を借りている。これ、奨学金という名前ですけど、中身としては借金なので、当然ながら返せない人もでてくる。

 

安部さん、リディラバジャーナルで奨学金の特集もやりましたが、奨学金制度についてはどんな所感ですか。


 安部  私は奨学金ってかなりひどい制度だと思ってますね。

 

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リディラバジャーナル編集部。「社会課題を、みんなのものに」をスローガンに、2018年からリディラバジャーナルを運営。
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