「基本方針がない」 改悪と問題視される入管法の背景を安部が解説
「基本方針がない」 改悪と問題視される入管法の背景を安部が解説
毎週水曜日、Twitterスペースでお届けしている「#あべラジオ」。
今回お届けするテーマは「出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)」の改正。
6月9日、参議院本会議で可決・成立した入管法。
関係者の間では「改悪」との声も上がり、デモ等も行われました。
安部さんは「法改正の是非に加えて、考えなければならないそもそもの問題がある」と語気を強めます。
日本社会が抱える「そもそもの問題」とは何か。
聞き手はリディラバジャーナル編集部の井上です。
※記事は「#あべラジオ」を編集してお届けしています。全編を聞きたい方はこちらから↓
「3回目以降の申請は国外送還が可能に」
難民問題の現状と入管法改正のポイント
井上
今日は、6月9日の参院本会議で可決・成立されるだろうと言われている(※収録日は6月7日)「入管法」についてです。
今回このテーマを取り上げるにあたり、色々とリサーチをしたんですけど、調べれば調べるほど、この入管法というのは本当に複雑ですね。
安部
確かに、日本における外国籍者への扱いは複雑なんだよね。
2018年に「難民問題」をテーマに構造化特集をやってるので、ぜひそちらも合わせて見て欲しいんだけど、その時に話を伺った第一人者とされる先生ですら、制度の詳細については文献を都度確認しながら話してたぐらいだからね。
(2018年に特集した難民問題の構造化特集はこちら)
井上
複雑なテーマだからこそ、安部さんの意見を聞いていく中で、問題点を整理できたらと思ってます。
ではまず、私の方から、日本における難民の現状と、入管法改正のポイントについて簡単に説明しますね。
難民認定申請とは、自国に帰ると迫害を受ける恐れのある外国籍の方が保護を求めて申請することを言うのですが、その人の申請状況に応じて「ABCD」の案件に振り分けられるんですね。
Aは難民の可能性が高い。Bは明らかに難民ではない。Cは正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返している案件。Dはその他。そんな振り分けですと。
で、そもそも日本国内で難民の可能性が高いと判断A案件の割合は、出入国在留管理庁発表が発表した令和4年度の数字でみると7.4%。
逆に、明らかに難民ではないとされるB案件は1.0%。
残りの90%超の方が「認定も否認もはっきりせず」というのが日本の現況ということになります。
※出典:https://www.moj.go.jp/isa/content/001393012.pdf
次に、入管法改正のポイントについて。
従来は、難民認定申請をしている立場上、母国に戻れば迫害を受けるリスク等があることから、難民認定申請手続き中は本国への強制送還が出来ないと法律で定められていました。
難民認定申請が棄却されても、再び申請を行い、審査をされている間は、日本国内への在留が可能だった訳ですね。
今回の法改正では、3回目以降の難民認定申請者については難民と認定すべき「相当の理由がある資料」が提出され、認められない限り、本国への送還が可能になる、と変更になりました。
その他の変更点も含めて、関係者の間で「改悪」と問題視されていますが、この改正について、安部さんはどう見てますか?
難民は拒み、働き手には人権侵害
外国籍者へのちぐはぐな扱い
安部
法改正の内容はひどいんだけど、今回に限らず、日本は外国籍者への処遇に数多くの問題を抱えているんだよね。
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