ワクチン忌避はなぜ起こる?――手を洗う救急医Takaさんと「ワクチン忌避」に向き合う【医療ゼミ#4 前編】
ワクチン忌避はなぜ起こる?――手を洗う救急医Takaさんと「ワクチン忌避」に向き合う【医療ゼミ#4 前編】
日本国内の新型コロナワクチン接種は、2回打ち終えた人の割合が5割を超えた(2021年9月30日現在)。一方、SNSなどでは「ワクチンは危険」として接種反対を訴える情報発信も見られる。
「医療情報の発信力を身につける」医療ゼミ5回目となる今回は、世界のワクチン事情に詳しい木下喬弘医師に、ワクチン接種をためらう「ワクチン忌避」の実態と、その背景にある要因、また望ましい解決方法などについて聞いた。
※本記事の内容は2021年8月25日時点の知見に基づいています。
※本記事の取材は「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた2021/8/25のライブ勉強会「【リディ部×手を洗う救急医Taka 特別ゼミ第3回】」で行われました。リディラバジャーナルの取材の様子は「リディ部」でご覧いただけます。
2010年阪大医学部卒。大阪急性期・総合医療センターで初期研修、12年同救急診療科に入職。19年にフルブライト奨学生として、ハーバード大公衆衛生大学院に留学。20年HPVワクチン接種率向上への取り組みで同大大学院の卒業賞Gareth M. Green Awardを受賞。8月28日にHPVワクチンのsocial marketingを行うために一般社団法人「みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」を共同設立し、現在副代表。科学に基づいた医療情報の提供を心掛け、Twitter(@mph_for_doctors)でも情報発信中。
日本人の接種率はHPVワクチンだけが極端に低い
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は現在、全世界的な公衆衛生上の問題となっている。感染収束に有効とされる集団免疫の獲得には、できるだけ多くの人がワクチンを接種する必要があるが、その障害の一つとなっているのがワクチン忌避の問題だ。
ワクチン忌避はWHOによって2019年における「世界的な健康に対する脅威」のトップ10のうちの一つにも選ばれている。
では、日本のワクチン忌避の現状はどうなっているのだろうか。
日本における定期予防接種の状況(厚生労働省 定期の予防接種者数)を見ると、生後3ヵ月から打たれる4種混合ワクチンをはじめ、風疹、麻疹など、多くは接種率9割を超えている。
一方、定期接種にも関わらず接種率が極端に低いのが、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスを予防するHPVワクチンだ。
定期接種化された2013年4月以降、接種後に多様な症状が報告され、同年6月から現在までHPVワクチンは積極的勧奨の差し控えとなったままだ。
その結果、接種率は1%未満まで落ち込み、現在でも数%しか打たれていない(2021年9月末現在)。そのほか、任意接種であるインフルエンザワクチンの接種率は5割弱となっている。
「定期接種については、日本人は概ね優等生と言えます。このような状況を見て、日本にはHPVワクチン忌避はあるが、全体的なワクチン忌避は存在しないという人もいます」と木下医師は言う。
(写真 木下医師さん)
ワクチン忌避は「ワクチンが接種可能にも関わらず、接種を遅らせたり拒否したりすること」と定義されている。
「これは連続的な概念で、接種可能なすべてのワクチンを受け入れる人と、すべてを拒否する人(ワクチン拒絶)は含まれず、その間にいる人たちのことを言います。
つまり、ほとんどのワクチンを打っていたとしても、打たないワクチンが一つでもあるならワクチン忌避と言えるので、定義上、日本人にはワクチン忌避があるということになります」
ワクチン忌避の理由の3Cモデルとは
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続きをみるみなさんこんにちは、リディラバの鈴木です!今回は、リディラバジャーナルで公開中の構造化特集「地域医療」の冒頭をこちらのnoteでも公開します。何かあったら病院で治療が受けられる。私たちの「当たり前」を維持するために、様々な課題を抱えながら尽力する医療現場の姿を知ってもらえたら嬉しいです。
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