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公開日: 2021/9/23(木)

「完璧な人はいない」からこそ、ともに生き合う社会を――子どもの居場所づくりの取り組みに迫る(後編)

公開日: 2021/9/23(木)
公開日: 2021/9/23(木)

「完璧な人はいない」からこそ、ともに生き合う社会を――子どもの居場所づくりの取り組みに迫る(後編)

公開日: 2021/9/23(木)

子どもが逃げられる先としての「居場所」。相川良子さんが理事長を務めるNPO法人ピアサポートネットしぶやでは、引きこもりや不登校の当事者経験のある大学生などを「ピアサポーター」として迎え、子どもたちが安心して拠り所にできる場と関係性をつくっている。

 

具体的な活動や背景について触れた前編に引き続き、後編ではその根底に流れる理念やいまの社会に必要とされる「あいまいさ」、互いに「生き合う」関係の重要性について、相川さんに聞いた。

 

※本記事の取材は「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた2021/9/1のライブ勉強会「子どもを排除しない社会をつくる~居場所づくりの取り組みに迫る~」で行われました。リディラバジャーナルの取材の様子は「リディ部」でご覧いただけます。

 

<相川良子さん>
NPO法人ピアサポートネットしぶや 理事長。公立中学校教諭、教頭、校長を経て社会教育に携わったあと、「ピアサポートネットしぶや]を立ち上げ、不登校、ひきこもりの子供・若者の社会自立を目指している。「原宿の丘コミュニティ委員会」顧問、「渋谷ファンイン」事務局、社団法人 全国キャリア教育ネットワーク協議会監事、NPO法人 スクールアドバイスネットワーク協議会監事など、多岐にわたって子供の支援をおこなっている。

「居場所」に必要なもの

ピアサポートネットしぶやのような活動は「居場所づくり事業」や「居場所支援」として、自治体、NPO法人、市民のボランティアや団体など多くの主体が取り組んでいる。

 

このアプローチでの子ども支援が重要視されるようになったのは、まさしく相川さんが目の当たりにした1980年代の学校における不登校の問題からだ。

 

学校に行くことが自明視される社会において、そうできない子どもたちを受容して尊重するという居場所支援の精神は、この時代に生まれた。

 

現在では不登校だけでなく貧困などあらゆる困難を抱えた子どもを受け入れる場として、従来のフリースペースとしての居場所に加え、無料・低額で食事を提供する「子ども食堂」や遊びの場となる「プレイパーク」など、地域を起点とした支援活動が広がっている。

 

ピアサポートネットしぶやでも一つの支援に限定せず、これらのうち複数の場づくりを同時並行的に行っている。

 

「その人が選び取る居場所っていうのは、一つじゃなくてもいいと思うんです。多ければ多いほどいいと思うんですよ」(相川さん)

 

(写真 相川良子さん)

 

実際、平成29年度の子ども・若者白書(内閣府)によれば、「居場所だと感じる場の数」が多いほど「生活の充実度(幸福感)」が高いことがわかっている。

 

また若者(15〜29歳)が居場所と感じられるところは、自分の部屋、家庭、インターネット空間、地域、学校などさまざまだ。このことからも相川さんは、多様で複数の居場所があることが重要であり、その選択肢を提供することが必要だと言う。

 

しかし居場所とは、単に物理的なスペースがあればいいというわけではない。

 

「昔から居場所とは『三間』だと言われてきました。『空間』のほかに、誰かと過ごす『時間』、そして時間や空間を共有する『仲間』が必要だと」

 

「三間」は70年代以降の受験競争や生活の都市化で失われていったと、相川さんは続ける。勉強によって時間がなくなり、都市化の進展で子どもが好きに遊べる空間が減った。そして時間と空間がなくなることで、必然的に遊ぶ仲間もいなくなり、地域や社会とのつながりも希薄になる。

 

この問題はコロナ禍で社会生活が大きく制約される現在も、形を変えて残り続けているという。

あいまいであることが肯定される場所

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CONTENTS
intro
ホームレス
no.
1
no.
2
若年介護
no.
3
no.
4
奨学金
no.
5
no.
6
差別
no.
7
no.
8
観光
no.
9
no.
10
子どもの臓器提供
no.
11
no.
12
都市とコロナ
no.
13
no.
14
ICT教育
no.
15
no.
16
産後うつ
no.
17
no.
18
宇宙
no.
19
no.
20
戦争
no.
21
no.
22
人工妊娠中絶
no.
23
no.
24
緊急避妊薬
no.
25
no.
26
テロリスト・ギャングの社会復帰
no.
27
no.
28
社会起業家
no.
29
no.
30
海上自衛隊
no.
31
no.
32
プロジェクト
no.
33
ソーシャルビジネス
no.
34
教員の多忙化
no.
35
no.
36
性的マイノリティ
no.
37
no.
38
出所者の社会復帰
no.
39
no.
40
ワクチン
no.
41
no.
42
薬物依存
no.
43
no.
44
性の悩み
no.
45
no.
46
リブランディング
no.
47
no.
48
少年犯罪
no.
49
no.
50
学校教育
no.
51
no.
52
LGBT
no.
53
no.
54
スロージャーナリズム
no.
55
no.
56
ソーシャルセクター
no.
57
no.
58
教育格差
no.
59
no.
60
メディア
no.
61
大人の学び
no.
62
no.
63
地方創生
no.
64
no.
65
家族のかたち
no.
66
no.
67
他者とのコミュニケーションを考える
no.
68
no.
69
地方創生
no.
70
no.
71
地方創生
no.
72
no.
73
非正規雇用と貧困
no.
74
no.
75
他者とのコミュニケーションを考える
no.
76
no.
77
家族のかたち
no.
78
no.
79
他者とのコミュニケーションを考える
no.
80
no.
81
地球温暖化対策
no.
82
no.
83
就労支援
no.
84
no.
85
1年の振り返り
no.
86
no.
87
動物との共生
no.
88
no.
89
行政のデジタル化
no.
90
no.
91
温暖化対策
no.
92
no.
93
動物との共生
no.
94
no.
95
地方移住
no.
96
no.
97
動物との共生
no.
98
no.
99
温暖化対策
no.
100
no.
101
組織論
no.
102
no.
103
キャリア
no.
104
no.
105
復興
no.
106
no.
107
コミュニティナース
no.
108
no.
109
MaaS
no.
110
no.
111
地球温暖化
no.
112
セックスワーカー
no.
113
no.
114
感染症とワクチン
no.
115
no.
116
大学生の貧困
no.
117
no.
118
温暖化対策
no.
119
no.
120
同性婚
no.
121
no.
122
フェアトレード
no.
123
no.
124
シェアハウス
no.
125
no.
126
飲食業
no.
127
感染症とワクチン
no.
128
no.
129
国際報道
no.
130
no.
131
社会的養護
no.
132
no.
133
認知症
no.
134
no.
135
入管法
no.
136
no.
137
国際問題
no.
138
no.
139
コミュニティ
no.
140
no.
141
コミュニティ
no.
142
no.
143
コミュニティ
no.
144
no.
145
吃音
no.
146
no.
147
コンサル×社会課題解決
no.
148
no.
149
いじめ
no.
150
no.
151
社会課題×事業
no.
152
no.
153
社会課題×映画
no.
154
no.
155
感染症とワクチン
no.
156
no.
157
社会教育士
no.
158
no.
159
山岳遭難
no.
160
no.
161
支援者支援
no.
162
no.
163
いじめ
no.
164
no.
165
ゲーム依存
no.
166
no.
167
トランスジェンダーとスポーツ
no.
168
no.
169
うつ病患者の家族
no.
170
no.
171
パラスポーツ
no.
172
no.
173
代替肉
no.
174
no.
175
弱いロボット
no.
176
no.
177
戦争継承
no.
178
no.
179
女性の社会参画
no.
180
no.
181
子どもの居場所
no.
182
no.
183
感染症とワクチン
no.
184
no.
185
デジタル社会
no.
186
no.
187
若年女性の生きづらさ
no.
188
no.
189
ゼブラ企業
no.
190
no.
191
多胎児家庭の困難
no.
192
no.
193
ソーシャルイノベーション
no.
194
no.
195
ジェンダー
no.
196
no.
197
毒親
no.
198
no.
199
葬儀
no.
200
no.
201
感染症とワクチン
no.
202
no.
203
子どもの安全
no.
204
no.
205
優生思想
no.
206
no.
207
感染症とワクチン
no.
208
no.
209
障害
no.
210
no.
211
水産資源
no.
212
no.
213
教育格差
no.
214
no.
215
障害と性
no.
216
no.
217
医療
no.
218
no.
219
シングルマザー
no.
220
no.
221
多文化共生
no.
222
no.
223
誹謗中傷
no.
224
no.
225
児童労働
no.
226
no.
227
不登校
no.
228
no.
229
政治
no.
230
no.
231
食料危機
no.
232
no.
233
お金と社会課題
no.
234
no.
235
震災
no.
236
no.
237
まちづくり
no.
238
no.
239
精子提供
no.
240
no.
241
選挙
no.
242
アロマンティンク・アセクシュアル
no.
243
クラウドファンディング
no.
244
レイシャルプロファイリング
no.
245
子育てと科学的根拠
no.
246
高齢者雇用
no.
247
介護
no.
248
no.
249