公開日: 2020/10/13(火)
更新日: 2023/3/27(月)

印象論で厳罰化をのぞむ危うさ――犯罪心理学の専門家が警鐘を鳴らす少年法改正(後編)

公開日: 2020/10/13(火)
更新日: 2023/3/27(月)
公開日: 2020/10/13(火)
更新日: 2023/3/27(月)

印象論で厳罰化をのぞむ危うさ――犯罪心理学の専門家が警鐘を鳴らす少年法改正(後編)

公開日: 2020/10/13(火)
更新日: 2023/3/27(月)

現在の日本では、20歳未満の少年犯罪に対しては刑法ではなく「少年法」が適用される。

 

しかし世間では、「同じ罪を犯しても、年齢が若いというだけで大人よりも軽い処分で済んでいる」「少年院に入っても反省せず再犯するのではないか」などのイメージから現行の少年法に疑問を持ち、加害者への厳罰化を望む声がある。

 

今回は、少年法や少年院が持つ意義や、少年犯罪に対するメディア報道がもたらす印象などについて、犯罪心理学や臨床心理学を専門とする、筑波大学教授の原田隆之さんに話を聞いた。

 

※本記事は、「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた7/22のライブ勉強会「少年法の適用年齢引き下げは私たちの社会を安全にするのか?」の内容をもとに記事化した後編です。

 

<原田隆之さん(筑波大学教授,東京大学客員教授)>
筑波大学教授,東京大学客員教授。博士(保健学)。専門は, 臨床心理学,犯罪心理学,精神保健学。法務省,国連薬物・犯罪事務所(UNODC)勤務を経て,現職。エビデンスに基づく依存症の臨床と理解,犯罪や社会問題の分析と治療がテーマです。疑似科学や根拠のない言説を排して,犯罪,依存症,社会問題などさまざまな社会的「事件」に対する科学的な理解を目指します。主な著書に「痴漢外来:性犯罪と闘う科学」「サイコパスの真実」「入門 犯罪心理学」(いずれもちくま新書),「心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門」(金剛出版)。

包摂から排除の論理に傾きかねない 

2022年4月に施行される改正民法の成人年齢引き下げにともなって、少年法の適用年齢の引き下げや厳罰化などの議論がなされてきた。

 

少年法についての議論を重ねてきた法制審議会の部会は2020年9月9日、要綱案をまとめ、少年法適用の年齢を引き下げることなく、現行の20歳未満を維持する結論を示した。一方で、18、19歳に対しては、現行の殺人事件や傷害致死だけでなく、強盗や強制性交なども検察官送致となる犯罪に含まれることになった。つまり、厳罰化の傾向にあると言える。

 

こうした現状に対して原田さんは、少年法改正による厳罰化の傾向は、日本社会のありかたそのものを変えてしまいかねないと懸念を示す。

 

「『未熟な少年を社会が育てていこう』『過ちを犯した少年に反省してもらい、また社会に迎え入れていこう』という包摂の考え方ではなく、一度道を踏み外した者は排除しようという社会になりかねないのです。そうした社会のあり方や、少年法の理念についても議論していかなければなりません」

 

原田さんは10年以上法務省に勤務し、少年鑑別所などでも働いた経験を持つ。

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子どもの発達障害、構造化マップを公開
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構造化。テーマは「子どもの発達障害」
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編集部メンバーの想いを公開しました
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「無戸籍」当事者の声を聞いてほしい。
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2〜3月は3年ぶりの構造化特集の復活ということで、「無戸籍」をテーマに構造化特集をお届けしてきました。

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CONTENTS
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ホームレス
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若年介護
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奨学金
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差別
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観光
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11
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都市とコロナ
no.
13
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産後うつ
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17
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宇宙
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19
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戦争
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人工妊娠中絶
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23
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緊急避妊薬
no.
25
no.
26
テロリスト・ギャングの社会復帰
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28
社会起業家
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海上自衛隊
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プロジェクト
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ソーシャルビジネス
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教員の多忙化
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LGBT
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大人の学び
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62
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地方創生
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64
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65
家族のかたち
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66
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67
他者とのコミュニケーションを考える
no.
68
no.
69
地方創生
no.
70
no.
71
地方創生
no.
72
no.
73
非正規雇用と貧困
no.
74
no.
75
他者とのコミュニケーションを考える
no.
76
no.
77
家族のかたち
no.
78
no.
79
他者とのコミュニケーションを考える
no.
80
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82
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83
就労支援
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84
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88
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90
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91
温暖化対策
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92
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93
動物との共生
no.
94
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95
地方移住
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96
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97
動物との共生
no.
100
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101
温暖化対策
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102
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組織論
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104
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キャリア
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106
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復興
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108
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コミュニティナース
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110
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111
MaaS
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112
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113
地球温暖化
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セックスワーカー
no.
115
no.
116
感染症とワクチン
no.
117
no.
118
大学生の貧困
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119
no.
120
温暖化対策
no.
121
no.
122
同性婚
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123
no.
124
フェアトレード
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125
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126
シェアハウス
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127
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128
飲食業
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129
感染症とワクチン
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130
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国際報道
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132
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133
社会的養護
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134
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認知症
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136
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137
入管法
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138
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139
国際問題
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140
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141
コミュニティ
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142
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143
コミュニティ
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144
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145
コミュニティ
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146
no.
147
吃音
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148
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149
コンサル×社会課題解決
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154
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156
no.
157
感染症とワクチン
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160
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161
山岳遭難
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162
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163
支援者支援
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164
no.
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いじめ
no.
166
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167
ゲーム依存
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168
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169
トランスジェンダーとスポーツ
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170
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171
うつ病患者の家族
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172
no.
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パラスポーツ
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175
代替肉
no.
176
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178
no.
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戦争継承
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180
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181
女性の社会参画
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182
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183
子どもの居場所
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184
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185
感染症とワクチン
no.
186
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187
デジタル社会
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188
no.
189
若年女性の生きづらさ
no.
190
no.
191
ゼブラ企業
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192
no.
193
多胎児家庭の困難
no.
194
no.
195
ソーシャルイノベーション
no.
196
no.
197
ジェンダー
no.
198
no.
199
毒親
no.
200
no.
201
葬儀
no.
202
no.
203
感染症とワクチン
no.
204
no.
205
子どもの安全
no.
206
no.
207
優生思想
no.
208
no.
209
感染症とワクチン
no.
210
no.
211
障害
no.
212
no.
213
水産資源
no.
214
no.
215
教育格差
no.
216
no.
217
障害と性
no.
218
no.
219
医療
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220
no.
221
シングルマザー
no.
222
no.
223
多文化共生
no.
224
no.
225
誹謗中傷
no.
226
no.
227
児童労働
no.
228
no.
229
不登校
no.
230
no.
231
政治
no.
232
no.
233
食料危機
no.
234
no.
235
お金と社会課題
no.
236
no.
237
震災
no.
238
no.
239
まちづくり
no.
240
no.
241
精子提供
no.
242
no.
243
選挙
no.
244
アロマンティンク・アセクシュアル
no.
245
クラウドファンディング
no.
246
レイシャルプロファイリング
no.
247
子育てと科学的根拠
no.
248
高齢者雇用
no.
249
介護
no.
250
no.
251