

何となくのイメージでとらえがちな地方創生だが、数字や具体的な事実で現状を把握し、因果関係を整理すると、本当にやるべき最初の一手が導き出せるという。
前編に引き続き、宮崎県日南市で日本初のマーケティング専門官として活躍する田鹿倫基さんに、日南市でのこれまでの実践と今後の課題を聞く。
※本記事は、「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた12/2のライブ勉強会「日本初!マーケティング専門官から学ぶ データから見る地域の課題解決——地方創生を構造化せよ vol.3』の内容をもとに記事化した後編です。リディ部について詳しくはこちら。
日南市商工・マーケティング課マーケティング専門官、ローカルベンチャーコーディネーター。1984年生まれ。2009年宮崎大学教育文化学部卒業、同年リクルート入社。アドオプティマイゼーション推進室でネット新規事業開発に関わる。2011年アドウェイズ上海法人にて日系企業が中国進出する際のマーケティングサポート事業を経て、2013年に日南市マーケティング専門官に就任。2017年「Forbes JAPAN 日本を元気にする88人」に選出。「ニッポンのジレンマ」「ガイアの夜明け」などに出演多数。
「日南市の奇跡」油津商店街の再生
田鹿さんが着任する以前、日南市では人口減少とそれに伴う財政状況の悪化という課題を抱えていた。だが、2013年、変化を望む市民に選ばれた若き﨑田恭平市長のリーダーシップのもと、数年の間に町の様子はずいぶん変わってきた。
とくに、油津商店街を再生させた過程は「日南市の奇跡」と言われ、安倍晋三前総理がしばしば言及し、現職の大臣をはじめ政府関係者の視察が続くなど、地方創生の中で大きな注目を集めている。
シャッター街となっていた油津商店街について、日南市は4年間で20店舗の新規出店という目標を掲げたプロジェクトを2013年にスタート。4年間で目標を大きく上回る29店舗の出店という実績を上げた。
アブラツコーヒー、二代目湯浅豆腐店、ゲストハウスfan! Aburatsu Bar &Hostelなど21店舗が出店したほか、油津オアシスこども園、日南市子育て支援センターなど、子どものための施設ができ、商店街の通行量が2.5倍から3倍に増えたという。
また、13社のIT企業が油津商店街の大型空き店舗を利用して日南市に進出した。これにより、地元の若者を中心に140名以上の雇用が生まれ、空き店舗対策と若者の雇用創出の2つの課題解決に寄与したのだ。
働く場を商店街につくったことにより、IT企業社員が商店街でランチして夜は飲みに行き、商店街の消費人口が増えるという好循環が生まれている。
その裏には明確な数字の根拠があったと田鹿さんは言う。
(写真 田鹿倫基さん)
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