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      2024/3/8(金)
公開日: 2021/7/7(水)

「いじめ」を学びにつなげる支援とは――いじめ問題との向き合い方(前編)

公開日: 2021/7/7(水)
公開日: 2021/7/7(水)

「いじめ」を学びにつなげる支援とは――いじめ問題との向き合い方(前編)

公開日: 2021/7/7(水)
オーディオブック(ベータ版)

文部科学省によると、令和元年のいじめ認知件数は61万2496件。認知した学校の数は実に全学校の82.6%に上る。 
 
2006年には12万4898件だったことを踏まえると、悪化の一途を辿っているようにも見える。しかし、横浜創英中学・高校の工藤勇一校長は「いじめの定義が広くなったことで認知件数が増えている。また、いまは調査の目的が『苦しんでいる人を探し出す』ことに変わってきているため、件数が増えるのは正しい傾向でもある」と指摘する。 
 
今回は「いじめ」に対する捉え方や向き合い方のあるべき姿について、工藤さんに伺った。

 

※本記事の取材は2021/6/3に行われた「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」のライブ勉強会兼、いじめ問題を取り巻く構造を問題と捉え変革を目指す「いじめ構造変革プラットフォーム(PIT)」定例会で行われました。リディラバジャーナルの取材の様子は「リディ部」でご覧いただけます。

 

<工藤勇一さん>
1984年から山形県の中学校で教員を5年間務めた後、1989年から東京都の教員になる。その後、東京都や目黒区の教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長などを歴任。2014年に麴町中学校の校長に就任すると、宿題や定期テスト、頭髪・服装指導、担任制をすべて廃止。世の中の「当たり前」をやめるという学校改革で話題沸騰になった。2020年からは横浜創英中学・高等学校で校長を務める。

トラブルを学びに変える支援

工藤さんによると、いじめ問題が大きく注目を浴びる度、文部科学省は学校で発生したいじめを見落とすことのないよう定義を広げ、毎年調査を重ねてきた。 

 

1986年 
「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じている者であって、学校としてその事実を確認しているもの」  
 
2013年 
「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のあるほかの児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」 


つまり、現在の認知件数の中には昔の定義ではいじめだと認められなかったものも数多く含まれており、それが件数を押し上げた大きな要因となっているという。 

文科省の調査は「最初はいじめをゼロにするためのものでしたが、いまは苦しんでいる人がいないかを探し出す調査なんです」と、工藤さんは話す。 
 
工藤さんが新宿区の教育委員会に在籍していたとき、同区は人口比率でのいじめ認知件数が最も多かったという。

 

「これは僕が『とにかくすべての数を上げてください』と学校にお願いした結果です。いじめというのは大人に見えないようにやるもので、もともと見えづらいものです。 
 
でも最悪の場合、子どもが命を失ってしまうこともあるんです。だからこれは数の大小が大事なんじゃなくて、子どもがどんな様子なのか、みんな敏感になってほしいということなんです」 
 
ただ、「いじめに対していまでも昔の定義のような印象を持っている人もいれば、日常のトラブルという印象を持っている人もいる」ことが、問題を大きくしてしまうこともあるという。 
 
本来「単なる日常的なトラブル」などとして子ども間で解決できるようなケースでも、片方が「いじめ」と認識し、過剰に反応してしまう場合があるからだ。 
 
工藤さんは「一番大事なことは、子どもが自分の足で人生を歩んでいくこと」と話し、自律の重要性を訴える。 
 
「子どもたち同士の間では、絶対にトラブルが起こります。それを『いじめ』だと特定することは重要ではなく、まずはそこにどんなトラブルが発生しているかを把握し、そのトラブルは子どもたち同士で解決できるのか、できないのかを大人が見極めていくことが大事です。 
 
そして、トラブルを起こした子どもたちがよりよい生活を送れるよう、トラブルを学びに変えていく。大人は、そのための支援はどうすればいいんだろうということを考えていかなくちゃいけないんです。 
 
そうすれば子どもはトラブルが発生すればするほど、親や教師を信頼するようになり、学校を安全な場所だと思うようになります」

 

(PAKUTASO)

子どもへの問いかけで当事者意識を育てる 

子ども自身に対しては、「解決する当事者だという意識を高めていかなければいけない」と工藤さんは話す。 
 
「いじめはすべて大人が解決するものだと勘違いしてる子どもがたくさんいます。それを当たり前だと思うようになると、解決できないことが出てきたときにほかの誰かのせいにするようになります」 

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構造化特集「地域医療」の内容を一部公開します
2023年6月9日

みなさんこんにちは、リディラバの鈴木です!今回は、リディラバジャーナルで公開中の構造化特集「地域医療」の冒頭をこちらのnoteでも公開します。何かあったら病院で治療が受けられる。私たちの「当たり前」を維持するために、様々な課題を抱えながら尽力する医療現場の姿を知ってもらえたら嬉しいです。


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6月の構造化特集「地域医療」への思い
2023年6月9日

この投稿はリディラバジャーナル会員限定のFBグループ「リディラバジャーナル企画室」からの転載です。

******みなさん、こんにちは!担当した構造化特集「地域医療 超高齢化社会に必要な『撤退戦』」が本日より公開となりました!今日は特集内には書いていない、特集に込めた思いをご紹介させてください。

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子どもの発達障害、構造化マップを公開
2023年4月16日

※この投稿はリディラバジャーナルの会員限定FBグループ「リディラバジャーナル企画室」からの転載です。*****みなさん、こんにちは!!!リディラバジャーナルの井上です。

今週はとても嬉しいことがあったので、ご報告させてくださいm(_ _)m

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構造化。テーマは「子どもの発達障害」
2023年4月7日

この投稿はリディラバジャーナル会員限定のFBグループ「リディラバジャーナル企画室」からの転載です。******みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルの井上です。

早くも4月ですね。あっという間に過ぎ去る日々に「!?!?」という感じですが、今日も今日とて、リディラバジャーナルのご案内です。

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編集部メンバーの想いを公開しました
2023年3月26日

※この記事はリディラバジャーナルの会員限定Facebookグループ「リディラバジャーナル企画室」からの転載です。******皆さん、こんにちは〜!

編集部の井上です。今日は、

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「無戸籍」当事者の声を聞いてほしい。
2023年3月26日

※この記事はリディラバジャーナルの会員限定Facebookグループ「リディラバジャーナル企画室」からの転載です。ーーーみなさん、こんにちは!リディラバジャーナル編集部の井上です。

2〜3月は3年ぶりの構造化特集の復活ということで、「無戸籍」をテーマに構造化特集をお届けしてきました。

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CONTENTS
intro
ホームレス
no.
1
no.
2
若年介護
no.
3
no.
4
奨学金
no.
5
no.
6
差別
no.
7
no.
8
観光
no.
9
no.
10
子どもの臓器提供
no.
11
no.
12
都市とコロナ
no.
13
no.
14
ICT教育
no.
15
no.
16
産後うつ
no.
17
no.
18
宇宙
no.
19
no.
20
戦争
no.
21
no.
22
人工妊娠中絶
no.
23
no.
24
緊急避妊薬
no.
25
no.
26
テロリスト・ギャングの社会復帰
no.
27
no.
28
社会起業家
no.
29
no.
30
海上自衛隊
no.
31
no.
32
プロジェクト
no.
33
ソーシャルビジネス
no.
34
教員の多忙化
no.
35
no.
36
性的マイノリティ
no.
37
no.
38
出所者の社会復帰
no.
39
no.
40
ワクチン
no.
41
no.
42
薬物依存
no.
43
no.
44
性の悩み
no.
45
no.
46
リブランディング
no.
47
no.
48
少年犯罪
no.
49
no.
50
学校教育
no.
51
no.
52
LGBT
no.
53
no.
54
スロージャーナリズム
no.
55
no.
56
ソーシャルセクター
no.
57
no.
58
教育格差
no.
59
no.
60
メディア
no.
61
大人の学び
no.
62
no.
63
地方創生
no.
64
no.
65
家族のかたち
no.
66
no.
67
他者とのコミュニケーションを考える
no.
68
no.
69
地方創生
no.
70
no.
71
地方創生
no.
72
no.
73
非正規雇用と貧困
no.
74
no.
75
他者とのコミュニケーションを考える
no.
76
no.
77
家族のかたち
no.
78
no.
79
他者とのコミュニケーションを考える
no.
80
no.
81
地球温暖化対策
no.
82
no.
83
就労支援
no.
84
no.
85
1年の振り返り
no.
86
no.
87
動物との共生
no.
88
no.
89
行政のデジタル化
no.
90
no.
91
温暖化対策
no.
92
no.
93
動物との共生
no.
94
no.
95
地方移住
no.
96
no.
97
動物との共生
no.
98
no.
99
温暖化対策
no.
100
no.
101
組織論
no.
102
no.
103
キャリア
no.
104
no.
105
復興
no.
106
no.
107
コミュニティナース
no.
108
no.
109
MaaS
no.
110
no.
111
地球温暖化
no.
112
セックスワーカー
no.
113
no.
114
感染症とワクチン
no.
115
no.
116
大学生の貧困
no.
117
no.
118
温暖化対策
no.
119
no.
120
同性婚
no.
121
no.
122
フェアトレード
no.
123
no.
124
シェアハウス
no.
125
no.
126
飲食業
no.
127
感染症とワクチン
no.
128
no.
129
国際報道
no.
130
no.
131
社会的養護
no.
132
no.
133
認知症
no.
134
no.
135
入管法
no.
136
no.
137
国際問題
no.
138
no.
139
コミュニティ
no.
140
no.
141
コミュニティ
no.
142
no.
143
コミュニティ
no.
144
no.
145
吃音
no.
146
no.
147
コンサル×社会課題解決
no.
148
no.
149
いじめ
no.
150
no.
151
社会課題×事業
no.
152
no.
153
社会課題×映画
no.
154
no.
155
感染症とワクチン
no.
156
no.
157
社会教育士
no.
158
no.
159
山岳遭難
no.
160
no.
161
支援者支援
no.
162
no.
163
いじめ
no.
164
no.
165
ゲーム依存
no.
166
no.
167
トランスジェンダーとスポーツ
no.
168
no.
169
うつ病患者の家族
no.
170
no.
171
パラスポーツ
no.
172
no.
173
代替肉
no.
174
no.
175
弱いロボット
no.
176
no.
177
戦争継承
no.
178
no.
179
女性の社会参画
no.
180
no.
181
子どもの居場所
no.
182
no.
183
感染症とワクチン
no.
184
no.
185
デジタル社会
no.
186
no.
187
若年女性の生きづらさ
no.
188
no.
189
ゼブラ企業
no.
190
no.
191
多胎児家庭の困難
no.
192
no.
193
ソーシャルイノベーション
no.
194
no.
195
ジェンダー
no.
196
no.
197
毒親
no.
198
no.
199
葬儀
no.
200
no.
201
感染症とワクチン
no.
202
no.
203
子どもの安全
no.
204
no.
205
優生思想
no.
206
no.
207
感染症とワクチン
no.
208
no.
209
障害
no.
210
no.
211
水産資源
no.
212
no.
213
教育格差
no.
214
no.
215
障害と性
no.
216
no.
217
医療
no.
218
no.
219
シングルマザー
no.
220
no.
221
多文化共生
no.
222
no.
223
誹謗中傷
no.
224
no.
225
児童労働
no.
226
no.
227
不登校
no.
228
no.
229
政治
no.
230
no.
231
食料危機
no.
232
no.
233
お金と社会課題
no.
234
no.
235
震災
no.
236
no.
237
まちづくり
no.
238
no.
239
精子提供
no.
240
no.
241
選挙
no.
242
アロマンティンク・アセクシュアル
no.
243
クラウドファンディング
no.
244
レイシャルプロファイリング
no.
245
子育てと科学的根拠
no.
246
高齢者雇用
no.
247
介護
no.
248
no.
249