そもそも地球温暖化とは何か――2050年の脱炭素社会実現に向けて(前編)
そもそも地球温暖化とは何か――2050年の脱炭素社会実現に向けて(前編)
2020年10月、菅政権が「温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする」という目標を打ち出した。日本は欧米諸国から地球温暖化対策の解決に消極的だと言われてきたが、まさに今大きな転換点にある。
そこで、国立環境研究所で地球温暖化や気候変動の研究を行う江守正多さんに、これまでの地球温暖化対策のトレンドや、シミュレーションを使った研究の意義、そして2050年という数字の理由について話を聞いた。
※本記事は、「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた1/7のライブ勉強会「【リディ部環境会議vol.1】2050年までにCO2排出量『実質ゼロ』は実現可能かーせめぎ合う『個人』と『社会』と『技術』ー」の内容をもとに記事化した前編です。
※リディラバYouTubeでは、ライブ勉強会の様子を一部公開中!記事末尾よりご覧ください。
1970年神奈川県生まれ。1997年に東京大学大学院 総合文化研究科 博士課程にて博士号(学術)を取得後、国立環境研究所に入所。2018年より地球環境研究センター 副センター長。社会対話・協働推進オフィス(Twitter @taiwa_kankyo)代表。専門は地球温暖化の将来予測とリスク論。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次および第6次評価報告書 主執筆者。著書に「異常気象と人類の選択」「地球温暖化の予測は『正しい』か?」、共著書に「地球温暖化はどれくらい『怖い』か?」「温暖化論のホンネ」等。
人間活動の影響としか考えられない気温上昇
安部敏樹 江守さんは、つくば市にある国立環境研究所で、20年以上にわたって地球温暖化や気候変動の研究をされています。まずは、そもそも地球温暖化とは何なのか、というところからお伺いしていきたいと思います。
江守正多 前提として、地球の平均気温が年々上がっているという事実があります。その背景には、人間活動が大気中に温室効果ガスと呼ばれるものを増やしており、それによって赤外線が宇宙に逃げにくい状態、つまり地球の大気の中に熱がこもる状態になっていることがあげられます。
人間活動により排出されている温室効果ガスのなかで、主なものはご存知の通り「CO2」です。本当に人間活動が温暖化を招いているのかと懐疑的な声もありますが、もうそうとしか説明のつかないような気温の上がり方をしていることが現在分かっています。
(写真 江守正多さん)
安部 自然に気温が上がることはあるかもしれないけれど、すでにそのようなレベルではないということですよね。
江守 そうです。
安部 たしかに日本ではここ数年、豪雨など治水面でのトラブルが増加するといったように、いよいよ温暖化の影響がやってきたという実感があるような気がします。ただ、温暖化は昔から言われてきたことですよね。あまりきちんと対策をしてこなかったということなのでしょうか。
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