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公開日: 2021/7/8(木)

自分を尊重することで、多様な個人の尊厳が守られる――いじめ問題との向き合い方(後編)

公開日: 2021/7/8(木)
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自分を尊重することで、多様な個人の尊厳が守られる――いじめ問題との向き合い方(後編)

公開日: 2021/7/8(木)
オーディオブック(ベータ版)

前編でも触れた「考え方の違い」は、学校生活の中でときにいじめの原因になる。 
 
では、考え方の違いをいじめに結びつけないためにはどうすればいいのか。ひいては、他者を否定することなく一人ひとりが尊重される場を生み出すためには何が必要なのか。 
 

「いじめ予防授業」を全国各地の学校で行っている弁護士の真下麻里子さんと、横浜創英中学・高校の工藤勇一校長に伺った。  

 

※本記事の取材は2021/6/3に行われた「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」のライブ勉強会兼、いじめ問題を取り巻く構造を問題と捉え変革を目指す「いじめ構造変革プラットフォーム(PIT)」定例会で行われました。リディラバジャーナルの取材の様子は「リディ部」でご覧いただけます。

 

<真下麻里子さん>
早稲田大学教育学部(数学専攻)を卒業した後、大宮法科大学院大学を修了。司法試験に合格し弁護士となる。弁護士としての活動の傍ら、「NPO法人ストップいじめ!ナビ」の理事も務める。全国の学校で、オリジナルのいじめ予防授業や講演活動を実施するほか、学校運営におけるリスク管理の観点から教職員研修の講師も務めている。いじめ構造変革プラットフォーム アドバイザー。

 

<工藤勇一さん>
1984年から山形県の中学校で教員を5年間務めた後、1989年から東京都の教員になる。その後、東京都や目黒区の教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長などを歴任。2014年に麴町中学校の校長に就任すると、宿題や定期テスト、頭髪・服装指導、担任制をすべて廃止。世の中の「当たり前」をやめるという学校改革で話題沸騰になった。2020年からは横浜創英中学・高等学校で校長を務める。

感情と行動は一緒じゃなくていい

真下さんはそもそも、「心の教育には限界がある」と訴える。 
 
例として、大きな問題となった2011年の大津市いじめ自殺事案が起こった中学校が、文部科学省の「道徳教育実践研究事業」推進指定校に認定され、多様な道徳教育が熱心に行われていたことを挙げる。 
 
同事案をめぐっては、第三者委員会が報告書の中で「この道徳実践が全く無意味であったとは思えないが、本件のようないじめの事案を防げなかったという事実を教員たちは真摯に受け入れなければならない」と指摘している。 

 

真下さんは「授業でできるところはどこまでかということを意識することが大事です」と話す。 
 
横浜創英中学・高校の校長を務める工藤勇一さんも、「本当は心の教育ではなく、よい行動を取る訓練が大事だと教育しなくちゃいけない」と強調する。 
 
「『よい行動を取る方がいい』ということにはみんな賛成します。でも、日本の教育は『心を鍛えたらよい行動ができる』『心と行動は一致させなさい』と教えるケースが多い。 
 
そうすると、世界基準で見たときには心よりもよい行動を取る方がいいはずなのに、日本でそれをすると『いい子ぶってる』などと言われてしまうんです」 
 
ここで必要なのは、「スキル」だと工藤さんは主張する。 
 
「僕は生徒たちに『人間は心を簡単に変えられない。人を差別する心は大人だって残念ながら生まれてくる。僕だって差別する心がないかというと嘘になる』と話しています。 
 
でも、自分のこうした行動が人を傷付けるということを知識として知ったら、誰でもその行動を止められます。そうすると、みんなが気持ちよく過ごせる世の中になっていきます」 

 

(写真 工藤勇一さん)
 
さらに真下さんは、「これは教員の方々に対してこそ伝えたい」と付け加える。 
 
「教員の方々の中には、スキルで解決するような問題に対して『人格が未熟だからこんな指導をしてしまうんじゃないか』と悩んでしまう人もいます。 
 
教員が守られたり、尊重されたりすることが、結果的に子どもの利益にもつながっていくと思います」 

いじめに対する法的な考え方を身につける

「いじめ予防授業」を通して真下さんが生徒に伝えたいのは、「いじめに対する法的な考え方を身につけてもらうこと」だ。 
 
たとえば授業の中では、「合唱コンクールに向けた朝の練習に毎回遅刻してくる生徒が、同級生から悪口を言われたり無視をされたりするようになった」というケースを想定する。 

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CONTENTS
intro
ホームレス
no.
1
no.
2
若年介護
no.
3
no.
4
奨学金
no.
5
no.
6
差別
no.
7
no.
8
観光
no.
9
no.
10
子どもの臓器提供
no.
11
no.
12
都市とコロナ
no.
13
no.
14
ICT教育
no.
15
no.
16
産後うつ
no.
17
no.
18
宇宙
no.
19
no.
20
戦争
no.
21
no.
22
人工妊娠中絶
no.
23
no.
24
緊急避妊薬
no.
25
no.
26
テロリスト・ギャングの社会復帰
no.
27
no.
28
社会起業家
no.
29
no.
30
海上自衛隊
no.
31
no.
32
プロジェクト
no.
33
ソーシャルビジネス
no.
34
教員の多忙化
no.
35
no.
36
性的マイノリティ
no.
37
no.
38
出所者の社会復帰
no.
39
no.
40
ワクチン
no.
41
no.
42
薬物依存
no.
43
no.
44
性の悩み
no.
45
no.
46
リブランディング
no.
47
no.
48
少年犯罪
no.
49
no.
50
学校教育
no.
51
no.
52
LGBT
no.
53
no.
54
スロージャーナリズム
no.
55
no.
56
ソーシャルセクター
no.
57
no.
58
教育格差
no.
59
no.
60
メディア
no.
61
大人の学び
no.
62
no.
63
地方創生
no.
64
no.
65
家族のかたち
no.
66
no.
67
他者とのコミュニケーションを考える
no.
68
no.
69
地方創生
no.
70
no.
71
地方創生
no.
72
no.
73
非正規雇用と貧困
no.
74
no.
75
他者とのコミュニケーションを考える
no.
76
no.
77
家族のかたち
no.
78
no.
79
他者とのコミュニケーションを考える
no.
80
no.
81
地球温暖化対策
no.
82
no.
83
就労支援
no.
84
no.
85
1年の振り返り
no.
86
no.
87
動物との共生
no.
88
no.
89
行政のデジタル化
no.
90
no.
91
温暖化対策
no.
92
no.
93
動物との共生
no.
94
no.
95
地方移住
no.
96
no.
97
動物との共生
no.
98
no.
99
温暖化対策
no.
100
no.
101
組織論
no.
102
no.
103
キャリア
no.
104
no.
105
復興
no.
106
no.
107
コミュニティナース
no.
108
no.
109
MaaS
no.
110
no.
111
地球温暖化
no.
112
セックスワーカー
no.
113
no.
114
感染症とワクチン
no.
115
no.
116
大学生の貧困
no.
117
no.
118
温暖化対策
no.
119
no.
120
同性婚
no.
121
no.
122
フェアトレード
no.
123
no.
124
シェアハウス
no.
125
no.
126
飲食業
no.
127
感染症とワクチン
no.
128
no.
129
国際報道
no.
130
no.
131
社会的養護
no.
132
no.
133
認知症
no.
134
no.
135
入管法
no.
136
no.
137
国際問題
no.
138
no.
139
コミュニティ
no.
140
no.
141
コミュニティ
no.
142
no.
143
コミュニティ
no.
144
no.
145
吃音
no.
146
no.
147
コンサル×社会課題解決
no.
148
no.
149
いじめ
no.
150
no.
151
社会課題×事業
no.
152
no.
153
社会課題×映画
no.
154
no.
155
感染症とワクチン
no.
156
no.
157
社会教育士
no.
158
no.
159
山岳遭難
no.
160
no.
161
支援者支援
no.
162
no.
163
いじめ
no.
164
no.
165
ゲーム依存
no.
166
no.
167
トランスジェンダーとスポーツ
no.
168
no.
169
うつ病患者の家族
no.
170
no.
171
パラスポーツ
no.
172
no.
173
代替肉
no.
174
no.
175
弱いロボット
no.
176
no.
177
戦争継承
no.
178
no.
179
女性の社会参画
no.
180
no.
181
子どもの居場所
no.
182
no.
183
感染症とワクチン
no.
184
no.
185
デジタル社会
no.
186
no.
187
若年女性の生きづらさ
no.
188
no.
189
ゼブラ企業
no.
190
no.
191
多胎児家庭の困難
no.
192
no.
193
ソーシャルイノベーション
no.
194
no.
195
ジェンダー
no.
196
no.
197
毒親
no.
198
no.
199
葬儀
no.
200
no.
201
感染症とワクチン
no.
202
no.
203
子どもの安全
no.
204
no.
205
優生思想
no.
206
no.
207
感染症とワクチン
no.
208
no.
209
障害
no.
210
no.
211
水産資源
no.
212
no.
213
教育格差
no.
214
no.
215
障害と性
no.
216
no.
217
医療
no.
218
no.
219
シングルマザー
no.
220
no.
221
多文化共生
no.
222
no.
223
誹謗中傷
no.
224
no.
225
児童労働
no.
226
no.
227
不登校
no.
228
no.
229
政治
no.
230
no.
231
食料危機
no.
232
no.
233
お金と社会課題
no.
234
no.
235
震災
no.
236
no.
237
まちづくり
no.
238
no.
239
精子提供
no.
240
no.
241
選挙
no.
242
アロマンティンク・アセクシュアル
no.
243
クラウドファンディング
no.
244
レイシャルプロファイリング
no.
245
子育てと科学的根拠
no.
246
高齢者雇用
no.
247
介護
no.
248
no.
249